【健康と仕事】調子が悪いときはまず「睡眠」を第1に考えよう!

仕事や日常生活で体調がすぐれないとき、睡眠不足になっていませんか?

 

睡眠は「健康」と「幸福」に欠かせないものです。十分な睡眠をとることで、体の回復や免疫力の向上、記憶力の強化などが期待できます。さらに良質な睡眠はストレスを軽減し、心身のバランスを保つ助けにもなります。

 

今回は睡眠の重要性を理解し、日々の生活に取り入れてもらえるように睡眠の大切さについて解説していきます。

① 睡眠とは何か?

起きた女性

睡眠をWikipediaで調べると以下のように解説されています。

脳の意識レベルが低下して、視覚や聴覚などの感覚情報が脳に認識されなくなった状態

(引用)Wikipedia 睡眠

脳を休ませるためにも大切な行動であり、子ども・大人・高齢者に限らず、睡眠は健康の維持・増進に不可欠と言えます。

 

人は休まずに働き続けられるかと言われれば「絶対無理!」とわかるはずです。それだけ睡眠は私たちの生命維持に欠かせないものになります。

 

睡眠が大切とはわかっていても、実際にしっかりと睡眠時間を確保できているかと言われれば、決してそうではありません。

 

日本人の睡眠時時間は他の諸外国に比べて短いことが報告されています。令和3年のOECD(経済協力開発機構)の調査では、33カ国の中で日本は最も睡眠時間が短くなっています。

 

また令和元年の国民健康・栄養調査結果によると、1日の平均睡眠時間が6時間未満の割合は、男性37.5%、女性40.6%で、特に働き盛りの年齢で睡眠時間が短くなっていることもわかっています。

(参考)厚生労働省:令和元年国民健康・栄養調査報告 

 

こうした現状から適切な睡眠時間の確保とカラダを休められたという休養感を高めることは重要な課題と言えます。

 睡眠不足の影響

睡眠不足になっている人にはどう言った悪影響が及ぶのでしょうか。何となくカラダが疲れるだけではなく、身体的健康にさまざまな影響を及ぼします。

身体への影響

お腹をおさえる女性

死亡リスクの増加

短い睡眠時間と死亡リスクとの関連について科学的根拠の高い調査を行ったところ、睡眠時間が短いケースは、通常の睡眠よりも死亡リスクが高い(オッズ比1.12)ことが報告されています。また6時間未満の睡眠では死亡リスク増加とも相関が強くなることも示されています。

 

一方で長すぎる睡眠時間もまた死亡リスクを増加させるとも言われています。そのため適切な睡眠時間でカラダを休めることが、死亡リスクを下げるのに重要となります。

 

生活習慣病との関連

睡眠時間が短くなると病気になりやすいことも報告されています。

 

  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 心血管疾患
  • 脳卒中
  • 冠動脈疾患

また肥満にもなりやすく、生活習慣病の発症リスクを高めることが報告されています。

精神への影響

頭を抱える女性

睡眠不足は精神面にも強い影響を及ぼします。メンタルヘルスが叫ばれる中で睡眠の重要性は増しています。

 

うつ病との関連

不眠症* になると、うつ病を発症するリスクは約2倍と言われています。

 

慢性的な睡眠不足はうつ病の前駆症状として考えられてきましたが、最近ではうつ病を発症するリスク要因としても重要視されるようになっています。

(*不眠症:良質な夜間の睡眠を十分に取ることができず、仕事や学業に支障をきたすなど日中の機能障害が生じた状態)

 

集中力と認知機能の低下

睡眠不足になると集中力が低下することは経験されたことがある方も多いのではないでしょうか。長期にわたり睡眠不足が続くと、記憶力・注意力・判断力の低下を引き起こすことが知られています。

 

認知症の方は睡眠の問題を抱えることが多く、睡眠時無呼吸が重なると脳への酸素供給が不足してしまい、これが症状を悪化させることもあるため、認知機能の低下を防ぐためにも睡眠は重要となります。

仕事・日常生活への影響

転倒事故が発生しやすくなる

睡眠時間は転倒事故発生のリスクにも影響を及ぼします。睡眠時間が7時間の人の転倒発生率を基準にしたとき、6時間未満の場合、10時間以上の場合は共に転倒事故の発生リスクが高くなる傾向にあります。

 

しかし8~9時間の睡眠をとった場合は、7時間の睡眠時間の人よりも転倒リスクが低いという報告があります。

睡眠時間と転倒

(参考)Jane A Cauley,et al:Characteristics of Self‐Reported Sleep and the Risk of Falls and Fractures: The Women's Health Initiative (WHI).J Bone Miner Res. 2019 Mar; 34(3): 464–474.

自動車事故が起こりやすくなる

睡眠時間が減ると衝突事故などが起こりやすいことも報告されています。睡眠時間が7時間未満になるにつれて事故発生のリスクは高くなり、4時間未満となると特に危険な状態になると言えます。

 

そのため自動車の運転が必要なる仕事についている方や、運転業務に従事してもらっているスタッフには睡眠時間のチェックを行う必要性もあると言えるでしょう。

*数値が高くなるほど自動車事故の発生リスクが高くなります

睡眠時間を確保する対策

睡眠環境を整える

ベッドルーム

良質な睡眠を確保し、ゆっくりと休むためには、快適な寝具、暗さ、静かな環境を確保するようにしましょう。

寝室を快適な状態に保つことが睡眠の基本であり、効果的な方法になります。

 

温度や湿度も関係しており、これは体温調整に密接に関わるからです。そのため室内の環境だけでなく、パジャマなどの衣服にも注意を払うとよいでしょう。

おすすめの環境

  • 夏季: 室温は約26℃前後、湿度は50~60%が理想的とされています。(寝具やパジャマを着用して眠る場合の目安)
  • 冬季:室温は16℃以上、湿度は50~60%が推奨されています。(冬用の掛け布団を使用しているのが前提)

 

またリラックスできる香りを嗅ぐと心が落ち着つくため、ラベンダーなど自分の好みに香りを寝室に置くこともおすすめです。ただし香りがキツイとかえって逆効果になるので注意しましょう。

生活習慣を整える

ヨガをする女性

不規則な生活をしていると体内時計が狂い、睡眠のリズムが乱れ、睡眠時間は必然的に短くなります。

生活習慣を整えることは自律神経を整えることにも繋がるため、ストレス耐性も高まり睡眠の質を高めるためにも重要です。まずは朝の起床時間を一定にし、起きたらカーテンを開けて太陽の光を浴びるようにしてみましょう。

 

また布団に入り、深夜までスマートフォンを操作していると、強い光によって神経が刺激され寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなります。対策として効果的なのは寝室にスマホを「持ち込まない」あるいはベッドや布団から「離れた位置に置く」ように自制することです。習慣化のため3週間以上は続けてみて下さい。

 

その他、決まった時間に食事を摂ることで生活リズムを整えたり、適度に運動することも睡眠の質の改善につながるので、①睡眠 ②食事 ③運動 の順に生活習慣を見直してみましょう。

早く帰宅する

5時

残業が多く長時間労働になると、帰宅時時刻が遅くなることも、睡眠時間が減ってしまう原因になっています。

 

長時間労働とメンタルヘルスの問題も多く取り上げられていますが、メンタルと睡眠は深く関わっているため、早く帰宅してOn-Offの切り替えをしっかりと行い、食事や趣味の時間に当てることで自律神経が整います。

 

良質な睡眠を確保するためにもできるだけ定時に帰宅し、就寝時間を固定してしっかりとカラダを休めましょう。

すでに睡眠障害がある場合

ベッドで頭を抱える女性

単に睡眠時間が短いだけでなく、すでに睡眠障害を抱える方は以下の対策にも参考にしてみて下さい。

 

  1. 専門家の診断と治療 睡眠障害を抱えている場合は、まず医師や睡眠専門家に相談しましょう。適切な診断と治療を受けることが大切です。
  2. ストレス管理 ストレスは睡眠に悪影響を及ぼすことがあります。深呼吸やマインドフルネスを活用してストレスを軽減するようにしましょう
  3. 運動と食事 適度な運動やバランスの取れた食事は、睡眠の質を向上させる助けになります。

これらの対策を実践することで、睡眠障害を軽減し、良質な睡眠を手に入れることができるようになるでしょう。

まとめ

日常生活の中で睡眠は軽視されがちですが、自身の健康を保つ上では1番大切と言っても過言ではありません。

 

食事や運動よりも睡眠の方が大切と言われることもあり、著明な方々も睡眠時間だけは確保するといったことも少なくありません。

 

明日からでも睡眠時間をしっかりと確保し、仕事でも遊びでも最高のパフォーマンスを発揮できるように、生活習慣・環境・残業しないと言った事に心掛けて下さい。

 

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参考文献

  • 眞鍋えり子 ら:女子総合大学の学生における 睡眠の質に影響する要因の検討
  • 厚生労働省:健康づくりのための睡眠ガイド 2023
  • 井谷修:睡眠と心身の健康.日大医誌 79 (6): 333–336 (2020)
  • 佐野真莉奈ら:睡眠がメンタルヘルスに与える影響に関する研究動向と今後の展望
  • 林 悠:睡眠中の脳のリフレッシュ機構を解明.筑波大学
  • VOGT Kaspar E:運動は深い睡眠の質を向上させる〜δ波の安定性を検証する睡眠脳波の新しい解析方法〜.筑波大学
  • 厚生労働省:健康づくりのための睡眠指針2014
  • Baglioni, C., Battagliese, G., Feige, B., Spiegelhalder, K., Nissen, C., Voderholzer, U.,Riemann, D. (2011). Insomnia as a predictor of depression: A meta-analytic evaluation of longitudinal epidemiological studies. Journal of Affective Disorders, 135, 10-19

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