運動不足解消や健康維持のために、運動を始めようと思っている方は多いのではないでしょうか?運動は健康維持に不可欠ですが、どの運動が最適かを選ぶことは運動することと同じくらい重要です。
代表的な運動にウォーキングとサイクリングがあります。ウォーキングとサイクリングは、手軽に始められる運動として人気がありますが、それぞれ異なる特徴とメリット・デメリットがあります。
この記事ではそれぞれの特徴やメリット・デメリットを科学的な視点から解説し、自分に合った運動を見つけられるきっかけになれば幸いです。
ウォーキングとサイクリングの特徴
運動は「こころ」と「からだ」の健康を保つため効果的であることが数多くの研究からわかっています。その中でもウォーキングとサイクリングは特別な設備や技術を必要とせず、年齢や体力に関わらず始めやすい運動で人気です。
ウォーキングやサイクリングは、心筋梗塞や狭心症などの心臓病や糖尿病などの生活習慣病の予防、体重管理、ストレス解消に効果があるとされており、それぞれの運動には特徴とメリット・デメリットがあります。
ここではウォーキングとサイクリングの特徴を見ていきましょう。
ウォーキングの特徴とメリット
ウォーキングは靴さえあればすぐにでも始めることができ、必要なものがほとんどなく、誰でも簡単に始めやすい運動です。また自分のペースで続けられるのもウォーキングの魅力の1つです。
健康維持にも効果的で、例えばアメリカ心臓協会誌「Circulation」では発表された報告では週に150分~300分の運動をする人は、死亡リスクが21%~23%低くなることが報告されています。
ウォーキングはこの目標を達成するには理想的な運動のため、アメリカ保健福祉省(HHS)では週に150分程度の運動をが推奨されています。
上記のような死亡リスクのメリットだけでなく、他にも多くのメリットがあります。
メリット
- 場所や時間を選ばずに、すぐに始められる
- 怪我のリスクが比較的低い
- ストレス解消につながる
- 心肺機能向上、筋力維持、血圧や血糖値の改善、骨密度の向上などに効果的
- ランニングシューズなど、初期投資が比較的少ない
一方でウォーキングにもデメリットとまではいかないかもしれませんが、他と比べるとマイナスな部分があります。
デメリット
- サイクリングに比べて運動の負荷が小さい
- 同じカロリーを消費するには、サイクリングよりも時間がかかる
- 雨天時は取り組みずらい
全体的に見れば何もしないよりも、ウォーキングで少しでも運動を行う方がカラダにいいことは言うまでもありません。
サイクリングの特徴とメリット
サイクリングはすでに自転車をお持ちの方であれば、こちらもすぐに始められる運動です。
サイクリングはウォーキングよりも高い強度の運動で、心肺機能の向上に役立つとされています。下半身の筋力も強化されることで、筋肉量が増え、基礎代謝もアップするため体重管理にも有効な運動となります。
サイクリングのメリットにはその他、以下のようなものがあります。
メリット
- ウォーキングよりも短時間で多くのカロリーを消費できる
- 風を感じながら走る爽快感があり、ストレス解消に効果的
- 下半身だけでなく、体幹も鍛えられる
- ウォーキングよりも関節への負担が少ない
サイクリングは下半身特に太ももの筋肉をよく使うことになります。この筋肉は大腿四頭筋と呼ばれる筋肉で、研究でもよく筋力を数値化されて検証されます。
転倒予防やスポーツのパフォーマンスにも関与するので、この筋肉が自転車により鍛えられることはメリットが大きいのです。
ただしサイクリングのデメリットはウォーキングよりも明確にあります。
デメリット
- スポーツタイプは自転車の購入価格が高い
- 交通量が多い場合、安全に走れる場所が少ない
- 雨だけでなく、風の強い日は危険を伴い天候の影響を受けやすい
天候に左右されやすいのはどちらも同じですが、自転車は風が強くても落車のリスクがあがります。ウォーキング中に転倒するよりも、サイクリングで落車する方がカラダに加わる衝撃が大きいため大けがに繋がります。
また自転車道が整備されていなければ、日頃自転車に乗ってサイクリングするには不向きなこともあります。
こちらの記事では自転車通勤について解説しています。自転車に乗っての通勤を考えている方はぜひご一読ください。
-
参考【仕事の生産性UP】健康とパフォーマンス向上のために!手軽に始められる自転車通勤のススメ
仕事をしていると「運動する時間がない」と思っている方も多いのではないでしょうか。 わかってはいるけど運動が嫌いだったり、ジムに通いたいけど時間的にも金銭的にも余裕がないと話される方は少な ...
続きを見る
どっちの方が効果的?
原則として運動効果は運動強度、時間、頻度によって異なりますが、同じカロリーを消費する場合は、サイクリングの方が効率的と言えます。
ダイエットを目的としている場合は脂肪燃焼効果が高いことが分かっているサイクリングの方が向いています。
一方、心肺機能向上やストレス解消などの目的であれば、ウォーキングでも十分な効果が期待できます。
また始めやすいのもウォーキングです。低強度で日常の中でも取り入れやすい活動なので、通勤途中に一駅分歩くだけでも1日に必要な歩数の多くを稼ぐことができます。
つまりウォーキングとサイクリングは個人の生活や、健康状態、目的によって異なります。ここではあなたが取り組むならどちらが向いているのかを目的別にお伝えします。
ウォーキングが向いている人
ウォーキングが向いている人は、リスクなくまずは始めたい方にオススメです。普段よりも歩くという事に意識を向けるだけなので、導入のハードルも高くありません。
- 運動が苦手な人
- 高齢者・妊婦
- お金をかけずに始めたい人
- 怪我が怖い方
- 運動のきっかけとして始めたい人
サイクリングが向いている人
サイクリングは短期間で健康の効果を得たい人や、ウォーキングよりも運動している感覚が欲しい人、カラダを鍛えたいと考えている方には向いている運動です。
- 短時間で多くのカロリーを消費したい人
- ダイエット効果として取り組みたい人
- 効率的に運動したい人
- 爽快感を得たい人
- 下半身・体幹の筋力をつけたい人
⑥終わりに
ウォーキング、サイクリング共に健康維持を目的とするのであればとても良い選択肢です。それぞれ異なる特徴とメリット・デメリットがあるため、どちらを選ぶかはあなたの健康状態や運動の目的、ライフスタイルなどを考慮して決定すると良いでしょう。
最も大切なのは、無理なく続けられる運動を見つけることです。継続すことがもっとも効果的なので、自分に合った運動方法を見つけて取り組んでみましょう。
参考文献
- 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023
- Physical Activity Guidelines for Americans 2nd edition
- 1 週間の歩行パターンと死亡リスクの関連を明らかに-週 2 回しっかり歩くことで健康は維持できるか?-
- Raed A. Joundi,et al:Association Between Physical Activity and Mortality Among Community-Dwelling Stroke Survivors.
- Dong Hoon Lee,et al:Long-Term Leisure-Time Physical Activity Intensity and All-Cause and Cause-Specific Mortality: A Prospective Cohort of US Adults.Originally published25 Jul 2022