【2026年】エイジフレンドリー補助金は設備だけじゃない。「身体機能チェック・運動指導」での使い方

2026年5月20日、令和8年度の「エイジフレンドリー補助金」の受付がスタートしました。

 

受付期間は10月31日まで。ただし先着順で、予算がなくなり次第、期間の途中でも締め切られます。

 

「今年の狙い目は熱中症対策コース」と言われていますが、もうひとつ見落とされがちな使い道があります。それが「専門家による身体機能のチェックと運動指導」という、設備ではなく"人"に使う方法です。

 

60歳以上の従業員が増えてきた。転倒や腰痛による休みが、ぽつぽつ出始めた。そんな職場こそ、この補助金の本来の狙いにぴったり当てはまります。

 

この記事では、令和8年度の変更点を押さえつつ、健康経営の視点から「身体機能チェック・運動指導」での活用法を整理します。

 

エイジフレンドリー補助金とは

 

エイジフレンドリー補助金は、正式名称を「高年齢労働者の安全衛生確保対策補助金」といいます。厚生労働省が所管し、2020年度に創設された制度です。

 

「エイジフレンドリー(Age-Friendly)」とは、「年齢に配慮した」という意味で、加齢に伴う筋力やバランス感覚の変化に配慮し、高年齢の従業員が安全に働ける職場をつくるための取り組みを、国が費用の一部を補助して後押しします。

 

対象になるのは、労災保険に加入している中小企業事業者で、60歳以上の高年齢労働者を雇用していること。申請の窓口は、一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会の「エイジフレンドリー補助金事務センター」です。

 

なぜ今、注目されているのか

理由は大きく3つあります。

①法律の変更

和8年4月1日に改正労働安全衛生法が施行され、60歳以上の高年齢労働者の労災を防ぐための措置が、事業者の「努力義務」として位置づけられました。

 

これまで「ガイドライン」だったものが、法律に基づく指針へと格上げされた形です。補助金を使って職場を整えることは、この努力義務への対応実績にもなります。

 

②数字が示す現実

補助金ポータルによれば、2024年の休業4日以上の労働災害のうち、60歳以上が全体の3割を超えています。

 

高齢の従業員にとって、転倒や腰痛は「ちょっとした事故」では済まず、長い休業につながりやすいのが実情です。

 

③国の本気度

令和8年度の予算額は9.5億円とされ、前年度(7.6億円)から約25%増えました。それだけ、高年齢労働者の安全対策に力を入れているということです。

 

裏を返せば、対策をしないまま労災が起きれば、休業中の人件費、代替要員の確保、そして「安全配慮義務を果たしていたか」という責任の問題まで、会社に重くのしかかります。

 

やらないことのコストは、決して小さくありません。

 

令和8年度はここが変わった

行動変容

令和8年度は、コースの構成が大きく再編されました。

 

令和7年度まで別々だった「総合対策コース」「職場環境改善コース」「転倒防止・腰痛予防のための運動指導コース」の3つが統合され、「専門家総合対策コース」になりました。

 

このコースの大きな特徴は、専門家によるリスクアセスメント(職場の危険箇所の洗い出し)の実施が前提になっている点です。

 

申請は「2段階」で考えると分かりやすくなっています。

第1段階

労働安全衛生の専門家にリスクアセスメントを実施してもらう。

第2段階

第1段階のその結果を踏まえて以下の申請を行います。

  1. (A)身体機能の低下を補う設備・装置の導入
  2. (B)転倒・腰痛を防ぐための「専門家等による身体機能のチェック及び運動指導等」の対策を実施

 

自社の安全衛生担当者がリスクアセスメントを行う場合は、第2段階から申請する道も用意されています。

 

このほか、健康診断の結果を活用した保健指導などを支援する「コラボヘルスコース」、暑熱環境での熱中症対策設備を支援する「熱中症対策コース」があります。

 

注意点

補助率や上限額の細部(専門家によるリスクアセスメント部分と、対策実施部分で補助率が異なる点など)は、コースや申請の段階によって変わります。最新の正確な金額は、必ず公式リーフレットと公募要領でご確認ください。

 

見落とされがちな「運動指導・身体機能チェック」という選択肢

熱中症対策の設備や、手すり・段差解消といった「モノ」への投資は、たしかに分かりやすい使い道です。

 

一方で、令和8年度の制度には「専門家等による身体機能のチェック及び運動指導」という、"人"に向けた対策がはっきりと位置づけられています(専門家総合対策コースの第2段階、およびコラボヘルスコース)。

 

転倒や腰痛は、職場の段差をなくすだけでは防ぎきれません。本人の足の踏ん張る力、バランスを保つ力、体幹の安定といった「身体機能」そのものに、つまずきの原因が隠れていることが多いからです。

 

そこで有効とされているのが、専門家が一人ひとりの身体機能をチェックし、その結果に合わせた運動指導を行うアプローチです。

 

「最近よくつまずく」「重い物を持つと腰が不安」といったサインを早めに拾い、無理のない範囲で身体を整えていく。設備改修と組み合わせれば、職場の安全はより確かなものになります。

 

もちろん、運動指導は「やれば必ず転ばなくなる」というものではありません。

 

効果には個人差があり、医学的な治療とも異なります。それでも、転倒・腰痛のリスクを下げることが期待される取り組みとして、補助の対象に位置づけられている意味は大きいといえます。

 

健康経営の視点で見たメリット

メリット

経営者・人事の立場で、この補助金を健康経営の文脈に置き直すと、メリットは3つに整理できます。

 

①休業リスクの低減

高年齢従業員の転倒・腰痛による長期休業は、人件費と生産性の両面で会社に響きます。身体機能チェックと運動指導で「転ぶ前」「痛める前」に手を打てれば、その損失を未然に抑えることが期待できます。

 

②人材の定着と採用力

「年齢を重ねても安全に、無理なく働ける会社」という姿勢は、高齢従業員の安心感につながり、長く働いてもらううえでの土台になります。人手不足が続く中、これは小さくない強みです。

 

③法改正への対応実績

前述のとおり、令和8年4月から高年齢労働者の労災防止は努力義務になりました。補助金を活用した取り組みは、その対応の裏づけとしても活用できます。

 

設備投資は資産として残りますが、運動指導のような"人への投資"は、従業員一人ひとりの「働き続けられる身体」として残ります。健康経営の本質に近いのは、むしろ後者かもしれません。

 

申請の進め方と注意点

大まかな流れは、次のとおりです。

簡単な流れ

  1. 自社が対象になるか確認する(労災保険加入・中小企業・60歳以上の従業員の有無)
  2. リスクアセスメントを実施する(専門家に依頼、または自社の安全衛生担当者が実施)
  3. その結果をもとに、設備導入か、身体機能チェック・運動指導かなど対策を検討する
  4. 見積もりを取得し、必要書類をそろえて申請する
  5. 交付決定を受けてから、対策を実施する


特に注意したいポイントが3つあります。

 

1つ目、交付決定の前に発注・購入・実施したものは補助対象外になることです。「先に進めてしまった」では取り返しがつきません。

 

2つ目、先着順で予算がなくなり次第締め切られること。受付は10月31日までですが、それを待たずに終了する可能性があります。

 

ちなみに昨年度の腰痛予防の補助金は1ヶ月足らずで締め切られる結果となりました。

 

3つ目は、リスクアセスメントの実施申請の受付が、本体より早く8月31日までとなっている点です。

 

つまり、動き出しは早いほど採択される可能性が高くなります。

 

まとめ

令和8年度のエイジフレンドリー補助金は、熱中症対策の設備だけのものではありません。「専門家による身体機能のチェックと運動指導」という、高年齢従業員の"働き続けられる身体"に投資する使い方が、はっきりと用意されています。

 

法律が努力義務を求め、国が予算を25%増やした今は、後回しにしてきた高齢従業員の安全対策に着手する好機です。

 

最初の一歩は、大きな投資ではありません。「自社の高年齢従業員が、今どんな身体機能のリスクを抱えているか」を見える化することです。

 

弊社では、理学療法士が高年齢の方の身体機能チェックと、一人ひとりに合わせた運動指導を行っています。

 

「補助金を使って、転倒・腰痛予防の運動指導を職場に取り入れたい」「まず自社の従業員の身体機能をチェックしてほしい」とお考えの宮崎県内の事業者の方は、お気軽にご相談ください。

 

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    ※本記事は2026年5月22日時点の情報です。補助率・上限額・対象経費などの詳細は、必ず厚生労働省の公式リーフレットおよび令和8年度公募要領でご確認ください。

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