【2027年速報】健康経営優良法人はこう変わる!認定要件の変更点をわかりやすく解説

2026年7月14日、経済産業省で「第6回 健康経営推進検討会」が開催され、健康経営優良法人2027(令和8年度)の認定要件・調査票の改訂案が公表されました。

 

結論から先にお伝えすると、今回の改訂は「回答負担の軽減」を看板に掲げながら、実際にはホワイト500要件の再構成長時間労働対応の厳格化が盛り込まれた、実質的にはハードルの上がる内容です。

 

特に大規模法人部門では、"設問は減るのに、求められる質は上がる"という構図になっています。

 

この記事では、公表された事務局資料をもとに、どこが・どう変わったのかを経営者と健康経営ご担当者の目線で整理しました。

 

なお、以下はあくまで検討会時点での「案」であり、最終版は正式公表される調査票をご確認ください。

 

この記事でわかること

  • 令和8年度改訂の基本方針(なぜ変わるのか)
  • 大規模法人部門の5つの主要変更点
  • 経産省の政策と連動して新設された5つの設問・アンケート
  • 中小規模法人部門への影響と、今から準備すべきこと

改訂の基本方針は「回答負担の軽減」

まず押さえておきたいのが、今回の改訂全体を貫く方針です。

 

健康経営度調査への回答数・優良法人への申請数はいずれも増加を続けている一方で、現場からは「設問数が多い」「回答負担が大きい」という声が根強く残っていました。

 

実際に負担が大きく、「もうやめましょう」と取得を諦めようとする企業もいらっしゃいました。

 

そこで令和8年度は、より多くの企業に健康経営へ取り組んでもらうことを狙い、次の方向で調査票を見直しています。

大規模法人部門

設問内容の重複を確認して統合し、評価に使っていない設問を削除

中小規模法人部門

回答すべき事項が明確になるよう、回答例などを見直し

 

ポイントは、「負担軽減=ゆるくなる」ではないことです。

 

重複を統合した結果、1つの設問で問われる要件が濃くなり、認定に必要な取り組みの"実効性"がこれまで以上に問われる設計になっています。

大規模法人部門の主要変更点【5つ】

大規模法人部門では、認定要件にかかわる評価項目のうち5つで、設問の再構成や評価項目名の変更が行われます。

 


順番に見ていきましょう。

① 自社従業員以外への健康経営の普及・浸透(ホワイト500要件の再構成)

ホワイト500の認定要件が、新Q20「他社からの派遣社員等や家族への健康支援」と新Q21「企業間での健康経営の普及・支援」の2設問に再構成されます。

 

令和8年度は、この新Q20と新Q21の"両方"を満たすことがホワイト500の要件です。

Q20&Q21

 

ただし新Q20の内部にある「a. 派遣社員等への支援」と「b. 家族への支援」については、令和8年度はどちらか一方で適合となります。

 

注意したいのは、令和9年度からはこの条件も"and(両方必須)"へ厳格化される予定とされている点です。

 

今年は一方だけですが、来年以降は両方求められる可能性が高いため、早めに支援メニューを整えておくと良いでしょう。

 

② 従業員への健康経営の理解・促進(組織体制の評価項目として新設)

これまで「1. 経営理念・方針」の"健康経営の推進方針の浸透"と、「2. 組織体制」の"従業員への健康経営の理解・促進"は内容が重複していました。

 

この重複を解消するため設問が再構成され、「2. 組織体制」の評価項目として「従業員への健康経営の理解・促進」が新設されます。

 

具体的には、新Q30「管理職・従業員それぞれへの情報の発信方法・内容」と新Q31「理解を深めるための工夫」の"両方"を満たすことがホワイト500の要件になります。

Q30&31


トップからの発信だけでなく、現場に浸透させる仕組みまで見られる、ということです。

③ 健康経営の方針等の社内外への発信(該当設問の変更)

必須要件である「健康経営の方針等の社内外への発信」の該当設問が、Q18SQ4(開示媒体)からQ18SQ5(推進について一元的に記載している媒体とURL)へ変更されます。

Q18SQ5

 

これは「たくさんの媒体で開示しているか」を問うのではなく、"どこを見れば健康経営の全体像がわかるか"を一元的に示せているかを重視する見直しです。

 

自社サイトの健康経営ページを整理し、一元的なURLを用意しておくことが実務上のポイントになります。

④ ワークライフバランスの実現に向けた取り組み(評価項目名変更)

従来「適切な働き方実現に向けた取り組み」に含まれていた設問が再構成されます。

 

労働時間の適正化は長時間労働対応へ統合され、休暇の取得促進・柔軟な働き方の実現が「ワークライフバランスの実現に向けた取り組み」として独立

ワークライフバランス


設問の再構成に合わせて評価項目名も変更されました。

⑤ 長時間労働の予防と事後対応(評価項目名変更・要件厳格化)

長時間労働への対応が、"予防"と"事後対応"を一体で確認する設問に改訂され、評価項目名も「長時間労働の予防と事後対応」へ変わります。

長時間労働の予防と事後対応

 

ここが今回、最も注意が必要な変更点です。

部門 令和8年度(2027)の要件 今後の予定
大規模法人 a.労働時間の適正化 と b.長時間労働者への取り組み の両方が必要
中小規模法人 a・b のいずれか一方で適合 令和9年度から両方が必須の予定

 

長時間労働は、心身の不調のサインが最初に表れやすい領域でもあります。

 

単なる時間管理にとどまらず、疲労やストレスを早期に把握できる体制まで含めて整えておくことが、今後の評価につながります。

 

経産省の政策と連動した新設項目【5つ】

令和8年度は、認定の合否に直結する配点項目とは別に、経済産業省の政策と連動した"配点なし"のアンケート・設問が複数新設されます。

 

今は配点がなくても、将来の要件化の"予告"と捉えて動向を押さえておきたい項目です。

睡眠に関する取り組み(設問新設・大規模)

これまで生産性低下防止策の一部として確認していた睡眠関連の取り組みが、政策的な推進を踏まえて独立設問に。仮眠室、照明の工夫、SAS検査、睡眠改善アプリなどが選択肢に挙がっています。

PHRを活用できる環境整備(大規模改訂・中小新設)

健診結果や歩数・食事などのライフログ(PHR)を活用できる環境の整備状況を確認。大規模と中小で設問・選択肢が統一されます。

健康投資額の確認(アンケート新設・大規模)

健康経営の推進に係る投資額を、配点なしで実態把握。人件費・設備投資・外注費など費目ごとに確認します。

テーマ別ベストプラクティス選定(アンケート新設・大規模&中小)

女性の健康、仕事と介護・治療・子育ての両立、高年齢従業員への配慮、睡眠不調者の改善など、政策と親和性の高いテーマの先進事例を収集・公表。エントリーには優良法人の認定が条件です。

ライフデザイン経営の認知(アンケート新設・大規模)

経産省が推進する「ライフデザイン経営」(社員がキャリアとライフを両立できる環境を提供する経営)の認知度・取り組み状況を把握します。

 

これらは「配点なし」ですが、次年度以降の評価項目の"種"が並んでいると読むのが自然です。

 

睡眠・PHR・両立支援あたりは、今のうちから自社の現状を棚卸ししておくと、来年以降の対応がぐっと楽になるでしょう。

 

中小規模法人部門への影響

中小企業部門


中小規模法人部門でも、大規模法人部門と歩調を合わせた見直しが反映されています。

 

認定要件の全体構成(1.経営理念・方針 〜 5.法令遵守・リスクマネジメント)は維持されつつ、以下2つの評価項目名が変更されました。

⑤ワークライフバランスの実現に向けた取り組み

⑭長時間労働の予防と事後対応


前述のとおり、中小規模法人の長時間労働対応は令和8年度は"いずれか一方"でOKですが、令和9年度からは"両方"が必須になる見込みです。

 

「今年は片方で通ったから大丈夫」ではなく、来年を見据えて予防・事後対応の両輪を整えておくのが得策です。

スケジュールは例年どおり

健康経営銘柄2027・健康経営優良法人2027のスケジュールは、例年どおりの想定です。

  • 健康経営度調査(大規模法人部門):2026年8月17日〜10月9日
  • 認定申請(中小規模法人部門):2026年8月17日〜10月16日
  • 認定法人の発表:2027年3月(銘柄・優良法人)

大規模法人部門は戦略マップ等の一般公開(自社サイト掲載とURL記載)が必須です。

 

Webサイトの更新には社内調整も含めて時間がかかるため、夏の申請開始前から準備を始めるのが安全です。


まとめ

健康経営優良法人2027の改訂を一言でまとめると、「回答負担は軽く、求められる質は高く」です。

  • ホワイト500要件は新Q20・新Q21で再構成され、来年以降さらに厳格化の予定
  • 長時間労働対応は予防と事後対応を一体で問う設計に(大規模は両方必須、中小も来年から両方へ)
  • 睡眠・PHR・健康投資額・ライフデザイン経営など、政策連動の新設項目が今後の焦点

 

制度対応のためのチェックリスト消化ではなく、従業員一人ひとりの心と体の状態を継続的に把握し、成果につなげる仕組みづくりが問われるフェーズに入っています。

 

健康経営に"100社あれば100通り"の正解があるように、自社の課題に合った打ち手を積み上げていくことが、結果的に認定への最短ルートになります。

 

まずは今回の変更点をもとに、自社の現状がどの要件を満たし、どこに空白があるかを棚卸しするところから始めてみてください。

 

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