人手不足、記録業務の煩雑化、加算要件の複雑化など、介護・障がい福祉の現場は年々厳しさを増しています。
そこに2026年度から段階的に始まる「介護情報基盤」やマイナンバーカードによる資格確認、ケアプランデータ連携システムなど、新しい制度対応も次々と押し寄せてきます。
「IT化が必要なのはわかっている。でも、何から手をつければいいのかわからない」 「カードリーダーって、結局どれを買えばいいの?」 「うちのパソコンで本当に動くんだろうか…」
そんなお悩みありませんか?
先日、延岡市で開催された「みやざき介護テクノロジー展」に参加させていただいた際、興味深いブースで足が止まりました。NPO法人タダカヨ。「タダでカイゴをヨくしよう!」を合言葉に、介護現場のIT化を完全無料で支援している非営利団体です。
その取り組みがあまりに本質的だったので、今回はこの団体のご紹介と、私たちアスカゼがAI活用支援の現場で見ている景色を重ね合わせながら、これからの介護事業所のIT化について整理してみたいと思います。
NPO法人タダカヨとは?

(画像元)NPO法人タダカヨ
NPO法人タダカヨは、2020年11月に設立された非営利団体です。
理事長を務める佐藤拡史氏が、コロナ禍に国から支給された10万円を元手に「オンライン面会」を普及させるボランティア活動を始めたことが、この団体の出発点だと公式サイトに記されています。
メンバーは全員、社会福祉法人や医療法人などで本業を持ちながら、合間を縫って活動しています。役員報酬も実質ゼロ円という、徹底した「非営利の本気」が伝わってくる組織です。
掲げているビジョンはシンプルです。
VISON
ITを上手に使って、お金をかけずにより良い介護へ
IT業界には、高機能でありながら無料や低コストで使えるサービスが日々生まれています。
ところが、多忙を極める介護現場には、その情報がなかなか届きません。タダカヨは、その情報格差を埋めることをミッションにしている団体です。
実際、2025年度(令和7年度)の「ケアプランデータ連携システム」導入支援数は累計1,800事業所を突破し、全国28自治体・32地域から委託を受けてモデル地域づくりに参画しているとの発表もありました。
「無料の団体」と聞いて侮るわけにはいかない、確かな実績がそこにあります。
タダカヨが提供する4つの無料サービス

ブースで配布されていたチラシによれば、タダカヨは介護現場向けに大きく4つの無料サービスを展開しています。
①タダスク(無料オンラインPCスクール)
介護従事者向けの無料オンラインPCスクールです。スマホ活用からAI、Excelまで幅広く学べ、月1,500〜2,000名が参加しているとのこと。初心者から上級者まで安心して受講できる構成になっています。
ほぼ毎日開催されており、年間受講者数は2万人を超えるとのこと。「日本最大のPCスクール」を名乗っていますが、無料でこの規模を運営しているのは驚きです。
②タダレク(無料オンラインレクリエーション)
こちらは介護現場の利用者様向けのサービスです。
全国の高齢者がご自宅や施設にいながら参加できる、無料のオンラインレクリエーションで、音楽・体操・クイズなどをZoomで毎月開催しています。単なる映像配信ではなく双方向型である点が特徴です。
③出張タダスク(地域での研修開催)
オンラインだけでなく、全国の介護団体等に対して、訪問または現地での無料IT研修を実施しています。「地域の課題に合わせて内容を柔軟にカスタマイズしてお届けする」とのことで、いわばオーダーメイド型の介護ICT研修です。
④タダサポ(オンライン個別ITサポート)
職場のIT化に悩む介護従事者を対象とした、無料のオンライン個別サポートです。Excel、Zoom、LINE WORKSなど幅広い相談に対応してくれます。
加えて、2023年11月に公開された動画研修マニュアル「タダマニュ」も2025年6月にリニューアルされ、法定研修対応の動画が40本追加されました。認知症の理解、接遇、緊急時対応、個人情報保護といった法定研修の代替としても活用できる内容です。
これだけのサービスが、すべて無料で提供されているという事実は、もっと知られていいと感じています。
注目すべき「介護情報基盤」と「ケアプランデータ連携システム」

タダカヨが特に力を入れているのが、ケアプランデータ連携システムと、その上位に位置づけられる介護情報基盤への対応支援です。
ここは、これから介護事業を経営される方にとって避けて通れないテーマなので、少し丁寧に解説します。
介護情報基盤とは何か
これまで市町村・医療機関・介護事業所などにバラバラに分散していた情報を、一つの基盤に集約する仕組みです。チラシによれば、運用スケジュールは以下のように予定されています。
- 2026年(令和8年)4月〜:段階的運用開始(準備が整った自治体から順次スタート)
- 2028年(令和10年)4月〜:本格運用(全市町村での活用開始を目指す)
集約される情報は、介護保険資格・証情報、要介護認定情報、給付・利用実績、手続きの進捗状況などです。これらをパソコン上で即座に確認できるようになります。
つまり、これまで市町村への電話確認や窓口への出向き、郵送のやり取りが必要だった作業が、大幅に削減されるということです。利用者様やご家族に書類の提示を求める負担も軽減されます。
導入には「カードリーダー」と「助成金」がセットになっている
介護情報基盤を活用するには、マイナンバーカードを読み取るためのカードリーダーが必要になります。タダカヨのチラシでは以下の機種が紹介されていました。
- USB接続モデル(CIR315A-02/04):参考価格6,500円
- Bluetooth対応モデル(CIR415A-01):参考価格15,800円
そして、これらの購入費用やシステム設定費用をサポートする助成金制度もあります。
チラシによれば、申請期限は2027年(令和9年)3月12日で、訪問・通所・短期滞在系で最大6.4万円、居住・入所系で最大5.5万円、その他で最大4.2万円となっています。
「予算上限に達した場合は早期終了の可能性がある」との注記もあるため、検討されている事業所様は早めに動いた方が良さそうです。
ケアプランデータ連携システムは「今なら無料」
もう一つの注目点が、ケアプランデータ連携システムです。月末の転記作業や郵送・FAXを激減させ、システム活用は「生産性向上」として評価されます。
介護職員等処遇改善加算の上乗せ(月額約5,000円相当)の要件クリアにもつながると説明されていました。
通常は年額21,000円のライセンス料が、2026年度下期の介護情報基盤への統合まで無料で利用できるキャンペーンが延長されているとのこと。金銭的リスクゼロで始められるタイミングです。
アスカゼが感じた、AI活用との相性の良さ

ここからは少し、弊社アスカゼの視点でお話しさせてください。
弊社では、介護・障がい福祉事業所様向けにAI活用支援を行っています。記録業務の効率化、議事録の自動作成、利用者様の情報整理、各種書類のドラフト作成など、生成AIを業務に組み込むお手伝いをしています。
タダカヨのブースで感じたのはタダカヨの取り組みとAI活用は、極めて相性が良いということでした。
理由はシンプルです。
介護情報基盤やケアプランデータ連携システムによって、これまで紙やFAXで分断されていた情報がデジタル化・構造化されます。データが構造化されると、AIに読み込ませて分析・要約・提案させることが一気にやりやすくなるのです。
たとえば、こんな活用が現実的になります。
チェックリスト
- 介護情報基盤から取得した要介護認定情報や主治医意見書を、AIが要約してケアマネジャーに提示する
- ケアプランデータ連携システムで送受信したデータを、AIが横断的に分析してケア改善のヒントを抽出する
- 利用者様の経過記録をAIが整理し、家族向けの報告書を自動でドラフト化する
つまり、「タダカヨの伴走支援で土台のIT化が整う」、そして「その上にアスカゼのAI活用支援が乗る」という流れが、自然に描けるわけです。
タダカヨのサポートでケアプランデータ連携システムやマイナンバーカード対応の環境を整え、業務のデジタル化が進めば、その先のAI活用は劇的にスムーズになります。
逆に言えば、土台のIT化がないままAIだけ導入しようとしても、効果は限定的になりがちです。
一歩を踏み出すために

「カードリーダー、結局どれを買えばいい?」「PC設定が不安…」「うちの事業所は対象なの?」
こうした不安をお持ちの事業所様は多いと思います。
タダカヨは、こうした初歩的な疑問への相談から、伴走型のサポートまですべて無料で対応しています。
そして、その先にあるAI活用や業務改善のフェーズで、「もう一歩踏み込みたい」「自社専用に最適化したい」という段階に来られた際には、ぜひ弊社アスカゼにもご相談いただければと思います。
タダカヨが「お金をかけずに、すべての介護現場にIT教育を届ける」という理念で動いているのに対し、弊社は「現場ごとの個別最適なAI活用」をご一緒に設計していく立場です。
役割は違いますが、目指している方向は同じです。介護現場の余裕と笑顔を、ITとAIの力で取り戻すこと。それが共通のゴールだと感じています。
まとめ
宮崎の地から見ていても、介護業界のデジタル化は静かに、しかし確実に進んでいます。2026年の介護情報基盤、ケアプランデータ連携システムの普及、マイナンバーカード対応など、こうした流れは「やるかやらないか」ではなく「いつ・どうやるか」の段階に入りました。
NPO法人タダカヨのような団体が、無料でここまでの支援を提供してくれている時代です。「予算がないから」「ITが苦手だから」という理由で立ち止まる必要は、もうありません。
まずはタダカヨに相談し、土台となるIT環境を整える。その先のAI活用フェーズで、私たちアスカゼがお力になれることがあれば、いつでもお問い合わせください。
宮崎の地から、介護現場のDXとAI活用を、お手伝いいたします。

