【健康経営】働く人必見!十分な睡眠が生産性向上に与える驚くべき効果

現代社会では仕事や人間関係、情報過多など様々なストレスに晒されています。そんな中睡眠は心身のリフレッシュに欠かせないものですが、十分な睡眠時間を確保できている人は少ないのではないでしょうか。

 

実は睡眠不足は単なる不快感だけでなく、集中力の低下、記憶力の減退、感情の不安定など、様々な問題を引き起こし、ひいては仕事の生産性にも悪影響を及ぼします。

 

この記事では睡眠の重要性、睡眠不足がもたらす影響、そして質の高い睡眠を手に入れるための具体的な方法について詳しく解説していきます。働き方が多様化する現代において、睡眠の質を高めることはより良い生活を送るための第一歩と言えるでしょう。

 

睡眠不足が企業にもたらす影響

いつも眠たそうな従業員はいませんか?

 

睡眠不足を「忙しいから仕方がない」と軽く考えている人も少なくないですが、従業員の睡眠不足は仕事に支障をきたすことが数多くの研究でわかっています。

睡眠不足による影響

寝不足

①集中力の低下

睡眠不足は脳の働きを鈍らせ、集中力を低下させます。集中力が低下する経験をしたことがある方も多いでしょう。集中力の低下はミスが増えたり、作業効率が低下したりする可能性があります。

 

瀬尾らによると、睡眠時間が短いと知覚機能・思考機能・記憶昨日の低下が大きかったことが報告されており、睡眠時間の不足は情報を処理する能力や問題解決能力が著しく低下するため、仕事の質が悪化しやすくなります。

 

②記憶力の低下

記憶力は新しい情報を学習し、それを長期記憶に移行させる能力と関係しています。睡眠中の特にノンレム睡眠(身体も脳も休んでいる状態)の間に、このような情報の整理が行われます。

 

睡眠不足が続くと長期記憶への記憶の移行がなされず、結果として記憶力が低下します。これにより翌日の仕事で必要なことが思い出せず、仕事のミスの増加や作業の効率性の低下につながります。

 

50歳以降から約25年にわたって追跡調査した研究では、睡眠時間が6時間以下の人は7時間睡眠を取る人々に比べて、約30年後に認知症と診断される可能性が約30%高いこともわかっています。

 

③感情の不安定

睡眠時間足りないとイライラした経験はありませんか?睡眠不足はストレスホルモンであるコルチゾールの分泌量を増やし、イライラ感や不安感、うつ症状などを引き起こします。

 

感情のコントロールが難しくなることで、人間関係や仕事のパフォーマンスに悪影響を及ぼし、仕事でのコミュニケーションに支障をきたすケースも考えられます。

 

④免疫力の低下

睡眠は「自然免疫」と呼ばれる生まれつき体に備わっている防御機能に影響を与えています。

 

睡眠不足になるとこの自然免疫の力が低下してしまいます。また睡眠不足になると成長ホルモンの分泌が低下し、細胞の修復が十分行なわれず、免疫細胞が減少することで免疫力が低下します。これにより風邪やインフルエンザにかかりやすくなります。

 

体調不良による欠勤の多い従業員は睡眠不足による免疫力の低下も関係しているかもしれません。

 

⑤睡眠不足が企業にもたらす影響

睡眠不足の社員はミスが増えたり、パフォーマンスが低下したりするため、企業にとっては大きな損失となります。

 

さらに睡眠不足は社員の離職率の増加や病欠の増加にもつながります。

 

企業に与える影響

リスク

睡眠不足は個人の健康だけでなく、企業の生産性にも大きな影響を与えます。

 

日本は労働生産性が先進国の中で特に低く、OECD加盟国の中でも30位で平均値よりも生産性が低いとされています。実は生産性が低いだけでなく、OECD加盟国中でも平均睡眠時間が最も短い国の一つとも言われています。

 

企業においては従業員の睡眠不足が年間約15兆円の経済損失につながっていると推定されており、睡眠不足による生産性の低下は企業の経済的な健全性にも大きな影響を及ぼしています。

 

睡眠不足がもたらす注意力や判断力の低下は、ミスの増加や事故のリスクを高めます。総合転職エージェントのワークポートの調査によると、睡眠不足が理由で仕事でミスをしたことがあるかの調べに51.2%がミスしたことがあると回答しています。

(参考)ワークポート「睡眠に対する意識」

 

睡眠不足が原因のヒヤリハットの体験をしたことがあるケースも多く、転倒などの労働災害にも関係しているため、従業員の長期離脱による人材不足などの問題も引き起こす可能性があることもリスクとして考えておくべきでしょう。

 

質の高い睡眠を手に入れるための具体的な方法

睡眠は時間だけでなく、その「質」の重要となります。ここでは自分でもできる睡眠対策をご紹介します。

睡眠環境を整える

寝室

寝室の環境

寝室は暗く、静かで、涼しい環境にしましょう。これにより、深い睡眠が促進されます。

寝具

体に合った寝具を選ぶことが大切です。特に、マットレスや枕の硬さが合わないと、眠りの質が低下します。

寝る前は、スマホやパソコンの画面から出る青い光を避けるようにしましょう。青い光は、メラトニンという睡眠ホルモンの分泌を抑制するため、眠りにくくなります。

外の音を遮断するために、耳栓やアイマスクを使用するのも良いでしょう。静かな環境で眠ることで、途中で目覚めることなく深い睡眠を維持できます。

 

生活習慣の見直し

規則正しい生活

平日・休日関係なく、できるだけ毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きるようにしましょう。これにより体内時計が整い、自然な眠りが促されます。

 

昼寝

短い昼寝は午後のパフォーマンスを上げるのに効果的です。15~20分程度の昼寝は午後からの覚醒を促して生産性の低下を抑制します。ただし長時間の昼寝は夜の睡眠を妨げる可能性があるので注意しましょう。

 

食事

寝る前の食事は控えめにして、カフェインやアルコールは避けるようにしましょう。カフェインは効果が半減するまでに一般的に4時間程度必要となり、25%程度になるのにも8時間かかるため、飲む時間はAMまでにする方が良いでしょう。

 

運動

運動はカフェイン以上に眠気を抑制する効果が報告されている論文もあります。昼食後の運動は午後の生産性を高めますが、寝る前になると脳が覚醒してしまうため控えるようにしましょう。

 

 

リラックス方法

入浴

寝る前にぬるめのお風呂にゆっくりと浸かることで、体を温め、リラックス効果が得られます。お風呂から上がった後に体温が下がることで、自然と眠気が訪れます。

 

読書

穏やかな内容の本を読むことは、心を落ち着かせる効果があります。特に、紙の本を読むことで、電子機器から離れる時間を作ることができます。

 

アロマセラピー

ラベンダーなどのアロマオイルは、リラックス効果が高いと言われています。寝室にアロマディフューザーを置くことで、心地よい香りに包まれて眠ることができます。

 

瞑想

瞑想は、心を落ち着かせ、ストレスを軽減する効果があります。寝る前に5〜10分程度の瞑想を行うことで、リラックスした状態で眠りに入ることができます。

 

そのほかこちらの記事でも対策を記載しています。

参考【健康と仕事】調子が悪いときはまず「睡眠」を第1に考えよう!

仕事や日常生活で体調がすぐれないとき、睡眠不足になっていませんか?   睡眠は「健康」と「幸福」に欠かせないものです。十分な睡眠をとることで、体の回復や免疫力の向上、記憶力の強化などが期待で ...

続きを見る

 

企業が支援できること

遠くを眺める男女

健康経営の一環として実際に睡眠に対する支援を行なっている企業には伊藤忠商事やDeNA、ロート製薬などがあります。

 

そのほか健康経営に取り組む中小企業でも睡眠に対する支援を行なっているため、今回は具体的かつ実施可能な支援方法をお伝えします。

 

睡眠セミナーの開催

専門家を招き社員向けに睡眠の重要性や質を向上させる方法についてのセミナーを定期的に開催することは取り組みやすい支援方法の1つです。

 

これにより社員は睡眠の重要性を再認識し、実践的なアドバイスを受けることができます。

 

ナップルームの設置

昼休みに短時間の仮眠を取ることで午後のパフォーマンスを高めるための専用ルームを社内に設置するケースもあります。

 

フレックスタイム制度の導入

柔軟な勤務時間を設定できる制度を導入し、社員が自分の生活リズムに合わせて働けるようサポートすることも大切です。

 

残業時間が長くなるようであれば、早めに出社できるような働き方を提供し、帰宅時間が遅くならないように対策することも有効です。

 

運動習慣をサポート

運動は睡眠の質を高めることが報告されています。

 

アクティブレストと呼ばれる軽い運動により老廃物の除去が促され、疲労回復にも効果的なため運動する機会を提供することも睡眠の質を高めるためには必要となります。

 

まとめ

睡眠は私たちの心身にとって非常に重要なものです。質の高い睡眠をとることで、集中力や記憶力、創造性を高め、ストレスを軽減し、健康的な生活を送ることができます。

 

睡眠不足は、個人だけでなく、企業にとっても大きな損失につながる可能性があります。企業は、社員の健康をサポートし、働きやすい環境を整えることで、生産性の向上を図ることができます。

 

この記事では、睡眠の重要性、睡眠不足がもたらす影響、そして質の高い睡眠を手に入れるための具体的な方法について解説しました。ぜひ、この記事を参考に、ご自身の睡眠環境を見直し、より良い睡眠を目指してみてください。

 

 

参考文献

  • 瀬尾明彦ら:睡眠時間が翌日終日の認知・運動機能に与える影響.ITヘルスケア 第3巻2号,2008:96-105

  • Séverine Sabia,et al:Association of sleep duration in middle and old age with incidence of dementia.Nature Communications volume 12

RECOMMEND

-健康経営, 記事・コラム
-, ,