二日酔いが軽くなる!?定期的な運動が「気持ち悪い」を軽減する理由について解説

二日酔いで翌日の仕事が辛かった。そんな経験をされた方も少なくないのではないでしょうか。

 

でもお酒を飲んで二日酔いで悩んでいる方に朗報があります。最近の研究によると、定期的な運動が二日酔いの症状を軽減する可能性があることが明らかになりました。

 

この記事ではその研究内容と、二日酔い対策としての運動の効果について詳しく解説します。

 

運動と二日酔いの関連性を示す研究

頭を抱える男性

アメリカの研究チームが行った最新の研究で、定期的な運動が二日酔いの重症度を軽減する可能性があることが示されました。

 

この研究はアメリカの2つの大学に通う学部生1676人を対象に行われました。対象者は過去3カ月間に少なくとも1回の二日酔いを経験し、週に30分以上の中程度の運動を行っていた学生たちです。研究チームはアルコールの消費パターン、身体活動のレベル、二日酔いの重症度や頻度などを分析しました。

 

その結果予想通りアルコールの摂取量が多い人ほど二日酔いの頻度が高く、症状も重いことが確認されました。

 

しかし注目すべき点は、ランニングなどの激しい身体活動を定期的に行っている人では、アルコール摂取と二日酔いの重症度や頻度の関連性が低下したことです。つまり定期的に高強度の運動を行うことで、二日酔いの頻度や重症度を軽減できる可能性が示唆されたのです。

 

運動が二日酔いを軽減するメカニズム

積み上げる

ではなぜ運動が二日酔いの症状を和らげる効果があるのでしょうか?

 

その理由をイギリスのスポーツパフォーマンス分析を行っているアタリー・レッドウッド・ブラウン氏らは、以下の4つのメカニズムが理由と解説しています。

1.痛みの軽減

アルコールは脱水症状を引き起こし、血管の機能に影響を与え、脳の周りの体液レベルを低下させます。これが頭痛を引き起こす可能性があるとされています。

 

しかし運動によって放出されるエンドルフィン(幸せホルモン)は二日酔いよる頭痛や筋肉痛を和らげる効果があるとされています。これはエンドルフィンが脳のモルヒネ(麻薬性鎮痛薬様の物質とされており、自然な鎮痛作用が得られるからです。

 

2.睡眠の質の向上

アルコールは、脳を休ませて回復させる「レム睡眠」を減らしてしまいます。

 

ですが定期的かつ適度な運動は概日リズムを整え、質の高い睡眠を促します。深い睡眠をとることで疲労回復効果が高まることで、二日酔いからの回復が早まる可能性があるのです。

 

睡眠の重要性についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。

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3.新陳代謝の改善

肝臓は主にアルコールを代謝しますが、代謝率が高ければ、アルコールとその副産物をより効果的に体内から排除するのに役立ちます。

 

運動は基礎代謝を上げ、体内のアルコールや老廃物を効率よく排出することを助けます。これにより二日酔いの原因となるアセトアルデヒドの排出が速くなる可能性があります。

 

4.炎症反応の軽減

アルコールはカラダの炎症反応を引き起こし、二日酔いの症状を悪化させる可能性が示唆されています。

 

日頃から運動することで体内の抗酸化物質が増え、活性酸素による細胞のダメージを抑制します。つまり運動はアルコールによる酸化ストレスから体を守り、二日酔いの症状を軽減する効果も期待できるのです。

 

そのほか、運動は交感神経と副交感神経のバランスを整え、自律神経の働きを安定させる働きがあります。これにより二日酔いによるだるさや倦怠感を軽減する可能性が高まります。

 

運動の取り入れ方

体操する男性

二日酔いの予防や症状軽減に運動を取り入れたい方は、以下のポイントを参考に実施してみましょう。

  • 定期的な運動習慣を身につける

週に3日以上、高強度の有酸素運動や筋力トレーニングを行うことが推奨されています。

  • 適度な運動強度を心がける

息が弾み汗をかく程度の運動(3メッツ以上の強度)を週60分以上行うことが目安です。

  • 多様な運動を取り入れる

有酸素運動、筋力トレーニング、バランス運動、柔軟運動など、多要素な運動を組み合わせることが効果的です。

  • 座りっぱなしの時間を減らす

運動以外の時間も、できるだけ身体を動かすよう心がけましょう。

 

二日酔いの時の運動は要注意

医師からの注意点

二日酔いになったとき、運動して汗をかいて、できるだけ早く体内のアルコールを排出した方が良いような気がしますが、実はこの方法とても危険な方法になります。

 

肝臓はアルコールを分解する際に最も重要な臓器です。十分な休息と水分補給により、肝臓の機能が回復し、アセトアルデヒド(毒性)という物質を効率的に分解できるようになります。

 

ですが、もし二日酔いを早く治そうと運動すると、筋肉への血流量が増すことになります。これにより肝臓に行くはずだった血流が、筋肉に送られてしまうことで、肝臓の血流量が減少してアルコールを分解する機能が低下してしまいます。つまり二日酔いの後の運動は逆効果になるのです。

 

またアルコールによる脱水症状の可能性もあるため、運動してしまうとかなり危険な状態になってしまいます。二日酔いの日は十分な水分を摂取して、自宅でゆっくり体を休めることが良いでしょう。

 

おわりに

定期的な運動は二日酔いの症状軽減に効果がある可能性が示唆されています。しかし治療法ではないということは理解しておくべきです。

 

二日酔いを防ぐ最も効果的な方法は適度な飲酒や節酒です。

 

運動は健康的な生活習慣の一部として取り入れ、飲酒と組み合わせて二日酔い対策に活用することが二日酔いの悩みを軽減し、より充実した日々を過ごせる最適解です。飲みすぎには十分注意した生活習慣を送るようにしましょう。

 

参考文献

  • Clayton Neighbors,et al:Physical activity as a moderator of the association between alcohol consumption and hangovers.Addictive Behaviors Volume 159, December 2024, 108145

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