「利用者やご家族に日々の取り組みを知ってもらいたい」、「地域の方に事業所の存在を知ってもらいたい」、「職員の働く姿や職場の雰囲気を発信して、採用にもつなげたい」
こんな思いがあるなら、介護事業所にとってSNSは地域での認知度向上や採用活動、事業所の魅力を伝えるための無料で始められる有効な手段の1つです。
でも、SNSを活用する必要性は感じていても、実際にはなかなか時間を確保できないという事業所も多いのではないでしょうか。
介護現場では、利用者対応、職員管理、書類作成、会議、突発的なトラブル対応など、管理者が担う業務は多岐にわたります。結果として、SNSのアカウントは作ったものの更新が止まってしまったり、特定の職員の頑張りに頼ったりしている事業所も少なくありません。
では、SNSを継続するためには、さらに人手や時間をかけるしかないのでしょうか。実はそうでもありません。
この記事では、2026年10月29日に私が登壇したセミナー「実践AI活用術 第2部 SNS発信」の内容を、介護事業所向けに組み直してお伝えします。
介護事業所のSNSは3つの目的に分ける

「とりあえずインスタを始めよう」と思っても、何を投稿すればいいのか迷ったり、ネタが尽きたりすることの話はよくお聞きします。
そんなときは、まずSNSを使う目的を決めてみましょう。介護事業所のSNSの目的は、大きく3つに分けられます。
① 採用
求人票だけでは、実際の職場の雰囲気までは求職者には伝わりません。
職員同士のやり取りや新人教育、普段の仕事の様子など職場の普段見えない部分を発信することで、求職者が働く姿をイメージしやすくなります。リクルートでも非常に使えるのがSNSです。
② ご利用者・ご家族の安心
レクリエーションや季節の行事、日々の活動を紹介することで、ご家族に安心してもらうきっかけになります。
これから利用を考えている方にとっても、事業所の雰囲気を知る参考になります。選んでもらうために発信するというのは採用と同じです。
③ 地域・ケアマネジャーとの接点
リハビリや認知症ケアなど、普段どのような取り組みをしているのかを細かく発信することも大切です。
事業所の特徴を知ってもらうことで、地域の方やケアマネジャーからの相談・紹介につながる可能性もあるので営業活動の一環として捉えることができます。
まずは目的を一つ決めてみる
最初からすべての目的を達成のために頑張るというのはオススメしません。軸がぶれて投稿内容に一貫性がなくなってしまうからです。
「誰に、何を伝えたいのか」 が決まると、日々の業務の中から投稿のネタも見つけやすくなるので、まずは目的を1つに絞って発信していくことが重要です。
なおSNSを活用する際は、写真や活動内容を投稿する際は、本人の同意や個人情報への配慮も忘れずに。
使うSNSは「メイン1つ+サブ1つ+受け皿」

SNSも複数ありますが、すべてのアカウントを回そうとするとまず続きません。
| 役割 | 例 | 介護事業所での使い方 |
| メイン | 日々の様子、職員紹介、行事のリール(短い縦動画) | |
| サブ | Threads | Instagramと同じアカウントで始められる文章中心のSNS。理念や想い、お知らせの補足 |
| 受け皿 | LINE公式・ホームページ | 見学予約、問い合わせ、求人応募の窓口 |
上記のように、メイン、サブ、受け皿として、それぞれSNSのツールを分けることがポイントです。それぞれ得意な分野がありますので、そのあたりを踏まえて、どのツールを使うか検討してください。
ちなみに、日本の主要SNSの利用率は、LINE 71.1%、YouTube 67.6%、X 45.4%、Instagram 42.0%です(出典:ICT総研「2026年度 SNS利用動向に関する調査」2026年7月28日発表)。
大事なのは利用率の高さではありません。自分たちが届けたい相手(求職者・ご家族)が、毎日開いている場所かどうかで選んでください。
AIに下書きを任せる、週30分の4ステップ

毎日スタッフが時間を作って頑張るのをやめ、週1回30分で1週間分をつくる方法を、最後にご紹介します。
ステップ① 職員から「出来事メモ」を1行ずつ集める(5分)
目的が決まっていれば、申し送りやホワイトボードに「今週載せたい出来事」を1行で書いてもらいます。
一人で考えるのではなく、複数人のアイデアを親元に作るほうが継続しやすいからです。
ステップ② AIに下書きを3本分つくらせる(10分)
ChatGPT、Claude、Geminiなど、無料の生成AIでも使える下書きのプロンプト例を下記に示します。
# 役割
あなたは宮崎市の通所介護事業所「〇〇デイサービス」のSNS担当です。
Instagram投稿用のキャプションを作成してください。
# 目的・読者
介護職への転職を考える30〜50代に、見学予約のきっかけを届けたい。
# 素材
・水曜の書道クラブ。テーマは「秋」。職員手作りの見本が好評
・新人職員が入職1か月。先輩とのペア制度で「質問しやすい」と話していた
# 形式
Instagramのキャプション。各150〜200字。冒頭1行で引きつける。ハッシュタグ5個。
【条件】
・ご利用者の氏名、病名、要介護度は書かない
・「必ず」「絶対」などの誇張はしない
・メモにない情報は補わず、【要確認:項目名】と書く
本文のみを出力し、前置きや説明は書かないこと。
ここでポイントとなるのが【要確認】の一文です。AIはメモにないことを、それらしく書き足すことがあります。ハルシネーションと言われるものです。
なので、分からない点を分からないと書かせるだけで、事実と違う投稿を限りなく防ぐことができるので、ぜひこの一言を書いてください。
ステップ③ 職員の一言を足して仕上げる(12分)
その場にいた人にしか書けない一言を足します。AIは肉体がなく、経験もできません。
なので、あとから追加で人が補足したり、あるいは下書き作成の段階でその場にいる人しか知り得ない情報を提供しておくことが、その事業所らしい投稿になります。
なお、投稿の際に写真等を利用すると思いますが、そこに名札、掲示物(個人情報の書いてあるホワイトボードなど)が写っていないかも確認してください。
ステップ④ 予約投稿し、反応を振り返る(3分)
曜日と時間を決めて予約投稿します。投稿する日時や投稿内容は、インサイトやダッシュボードの画面で見ることができます。
そのスクリーンショットをAIに渡し、「反応が良かった投稿の共通点」や「いつ投稿したらいいか?」も聞いて回答してもらうと、次のネタや投稿時間を決める際にとても役立ちます。
SNS投稿するために注意する点

SNSは無料で使えて便利ですが、注意すべき点もあります。
1. 個人情報はAIに入力しない
ご利用者・職員の氏名、顔写真、病名は入れない。メモの段階で抜いておきます。
2. 公開のOKを出す人を決める
AIが下書きを作っても、公開の責任は事業所にあります。承認者と、不在時の代わりを決めてください。
3. ご利用者の写真は書面で同意をいただく
どの媒体に、何の目的で載せるか、後から取り下げられることを説明して同意をいただきます。
(参考:個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」)
まとめ
- SNSが止まる原因は、文章力ではなく仕組みがないこと
- 目的は「採用」「ご家族の安心」「地域との接点」の3つ
- SNSは「メイン1つ+サブ1つ+受け皿」に絞る
- 出来事メモ→AIで下書き→人が仕上げ→予約投稿の週30分
- 個人情報を入れない・承認者を決める・写真は同意をいただく
書くのは現場の一言、整えるのはAI、公開を決めるのは人。この分担ができると、SNSは誰かのがんばりに頼らなくなります。
まずは次の申し送りで、「今週、SNSに載せたい出来事はありましたか?」と朝のミーティングや会議の時に一度だけ聞いてみてください。
もし事業所で一人の担当がSNSの運用を行っているのであれば、他のスタッフの出来事や情報共有がきっと継続の役に立ちます。スタッフ全体で協力しながら事業所をPRしていきましょう。
SNSを頑張るから「SNSが回る仕組みをつくる」へ
株式会社アスカゼでは、宮崎県内の事業所様を対象に、AI研修・活用支援を行っています。
「何から始めればよいかわからない」「情報漏えいやルール面が心配」「職員ごとに使い方の差がある」「AIを入れたものの、業務改善につながっていない」そんな不安のある事業所様も少なくありません。
2026年度内であれば、助成金を活用してスタッフの教育もできますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
※ 本記事は2026年11月時点で公開されている情報をもとにまとめたものです。各製品・機能の仕様は更新される可能性があるため、最新情報は公式ソースをご確認ください。