「寒いのが本当に苦手」「いつも足が冷たい」そんな風に感じているあなたは、もしかしたら冷え性かもしれません。
冷え性は女性に多く見られる悩みのひとつですが、単なる不快感以上に、私たちの日常生活や仕事の効率に大きな影響を与える可能性があります。今回は冷え性が仕事に与える影響について詳しく解説し、簡単にできる対策方法についてもお伝えします。
冷え性とは?定義と症状
冷え性は、体の特定の部位、特に手足や腰、下腹部が冷たく感じる症状を指します。多くの場合、客観的な体温測定では正常範囲内であっても、本人が冷えを感じることが特徴です。
主な症状
- 手足の冷え
- 肩こりや腰痛
- 疲れやすさ
- 集中力の低下
- 睡眠の質の悪化
女性は男性に比べて10%ほど筋肉量が少ないことで基礎代謝が低くなります。逆に体脂肪率は男性よりも10%前後多くなっています。
筋肉量が少なく、体脂肪率が多い理由は女性ホルモンによるものが大きいので、女性は男性よりも冷え性になりやすいのです。
冷え性の具体的な内容についてはこちらのニュースレターをダウンロードしてお読みください。冷え性のタイプ別の対策を記載しています。
冷え性が仕事の生産性に与える影響
冷え性は単なる日常生活の不快感だけにとどまらず、仕事の生産性にも大きな影響を及ぼす可能性もあります。
冷え性による生産性低下の要因
冷え性によって仕事の生産性が低下するとは、具体的にどんな問題が起こるのでしょうか。
冷え性によって生産性が低下する要因としては以下のようなものがあります。
- 集中力の低下
- 疲労感の増加
- 作業効率の悪化
- モチベーションの低下
これらの要因が複合的に作用することで、冷え性を持つ人は仕事のパフォーマンスが低下する可能性が高くなるので、効率的に作業を進めたい人は冷え性に対するケアも行う必要があるのです。
冷え性に対して、杏林大学名誉教授の古賀良彦先生はレッグウォーマーの有無で仕事の効率が変化するという研究が行われています。
この研究では足が暖かい方が仕事の効率が高いことが証明されています。
研究概要
オフィスでレッグウォーマーを着用した女性グループと、着用しなかった女性グループの比較実験が行われました。
その結果レッグウォーマーを着用したグループは、計算能力や記憶力、判断力が向上し、仕事効率がアップすることが確認されました。
これは足元を温めることで脳への血流が改善され、脳の働きが活性化したためと考えられています。
詳しくはこちらの記事をご参照下さい。
職場での冷え性対策
冷え性による生産性低下を防ぐため、職場でできる対策をいくつか紹介します。
運動の促進
デスクワークの合間に軽い運動やストレッチを取り入れることは有効です。座っていると股関節や膝が曲がったままになり、血流が悪くなるからです。1〜2時間の間に屈伸運動やストレッチを軽く行うだけでも変化があるので試してみて下さい
また立ったままうでを素早く振る動きを行うと、カラダがすぐに温まるので上半身が冷えるような方はこちらの運動もオススメです。
下半身が冷える方は「貧乏ゆすり(ジグリング)」を行うことも効果的です。ふくらはぎの筋肉は第2の心臓と言われ、
保温グッズの活用
下半身全体が冷える場合は、ひざ掛けやカイロの使用を使用するのもよいでしょう。
特にホッカイロは局所的に温めることで、血流が促進され体温が向上するためです。
またレッグウォーマーを足に履くことでも仕事の効率が上がるため、ぜひ活用してみましょう。
水分補給
水分補給は体温調節に重要な役割を果たすことが知られています。
体内が脱水状態になると、血液循環が低下して手足などの末端に血流が届きにくくなり、冷えを感じることになります。
また水分は皮膚の健康維持にも関与し、水分補給をしっかりと行うことで、皮膚の血流が保たれることで体内から熱が奪われにくくなります。
代謝を活発にして、体内の熱産生を助けることもわかっていますので、できれば温かい飲み物を定期的に摂取できる環境を整えましょう。
これらの対策を実施することで、冷え性を持つ従業員の快適性と生産性を向上させることができるでしょう。
適切な室温管理
作業環境は仕事の生産性にも影響を及ぼすため、過ごしやすい温度調整は非常に重要です。
- 夏季は冷房の設定温度を適度に調整し、冷えすぎを防ぐ
- 冬季は暖房を効果的に使用し、快適な室温を維持する
これら以外にも、直接風が当たらないように風除けを使用したり、サーキュレーターを活用することも検討してみてください。
冷え性改善と日常生活
冷え性の改善には、日常生活での取り組みも重要です。特に食事と生活習慣の見直しが効果的です。
食事による改善
①生姜の摂取
夏野らの研究によると、生姜の摂取はエネルギー消費量を増加させる効果があることが報告されています。
寒いときは体温を維持するためにエネルギーが使われ、エネルギー消費量が増加します。
生姜茶や生姜を使った料理を日常に取り入れることで、エネルギー消費量が増え、体温を上げる働きにより冷え性の軽減が期待できます。
②バランスの良い食事
基礎代謝を上げるためにはタンパク質やビタミン、ミネラルをバランスよく摂取することが重要です。
特に鉄分やビタミンB群は血行を促進する効果があります。
③体を温める食べ物の摂取
生姜以外にも、体を内側から温める効果のある食材(根菜類、発酵食品など)を積極的に取り入れることも効果的です。
夏野菜は体を冷やす働きがあるため、できるだけ冬が旬の野菜を摂取するようにすると良いでしょう。
生活習慣の改善
食事も生活習慣の1つですが、食事以外の過ごし方も冷え性対策には重要となります。
①適度な運動
定期的な運動は血行を促進し、基礎代謝を上げる効果があります。
運動により筋肉も維持・向上するので、通勤で歩く機会を増やしたり、自転車通勤を行うなどのことも冷え性対策にはよい取り組みとなります。
その他、ヨガやストレッチなど、自分に合った運動を見つけて続けてみましょう。
②睡眠の質の向上
十分な睡眠時間を確保することも冷え性対策には大切になります。
体温調節に関わる自律神経系は睡眠と密接な関係があります。冷え性の人は自律神経のバランスが乱れていることが多く、睡眠時間が足りない、眠りが浅いなどの問題を抱えていることも少なくありません。
十分な睡眠時間を確保し、就寝前のリラックスタイムを設ける、寝る前に手足を温める、暖かい寝具を使用するなど、睡眠の質を向上させる工夫をしてみましょう。
③入浴習慣
普段シャワーで入浴を済ませていませんか?
お湯にゆっくりつかることで体温を上昇させ、血液循環を促進します。これにより、体の末端部(手足など)への血流が増加し、冷え性の症状が軽減されることがあります。
もちろんそれだけではなく、温かいお湯に浸かることで、筋肉の緊張がほぐれ、リラックス効果が得られます。これにより、ストレスが軽減され、自律神経のバランスが整いやすくなります。
睡眠の質も控除ゆすることが報告されていますので、入浴時間や温度を工夫してみましょう。
おわりに
冷え性は、多くの女性が抱える健康問題であり、仕事の生産性に大きな影響を与える可能性があります。
この問題に対処するためには個人の努力だけでなく、職場環境の改善も重要です。適切な室温管理、運動の促進、食事の支援など従業員の健康に目を向けることで生産性を向上させることができるでしょう。
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男性従業員が女性従業員の健康に対して口を出すことが「セクハラ」にあたるのでは?と悩まれることも多いので、社内全体で共通の理解を深めることがまずは大切です。
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参考論文
- 松島 佳子ら:女子大学生の安静時代謝量に及ぼす身体組成および身体活動の影響
- 中山 裕介ら:夏季における睡眠の質と体質の関係に冷房使用が及ぼす影響 -暑さ耐性,発汗傾向,冷え性-
- Toyoki Natsuno et al:The Effect of Ginger Extract Intake on Energy Consumption in Young Women with the Feeling of Chilliness.August 2009The Japanese Journal of Ergonomics 45(4):236-241