レク担当になり、何をしようか決まらない。
レク担当の職員が、パソコンの前で企画表を開いたまま止まっている。
「先月は何をやったっけ」「これ、去年もやったな」「Aさんは車椅子だから、この内容だと参加できない」
30分ほど画面を見て、結局その日は決まらず、続きは家で考えることになる。
この光景に見覚えのある管理者やレク担当になったかは多いはずです。
そして問題は、何の生産性もなく担当者の時間だけがすぎてしまいストレスになっていることではないでしょうか?実際にこの企画をストレスに感じる方は少なくありません。
レクリエーションの中身をどうするか、ではなく、企画という業務をどう扱うか。今回は施設の管理者の視点からお伝えいたします。
レク企画には3つの隠れコストがある

「レクを考える時間」を分解すると、見えていないものが出てきます。
①企画そのものの時間
ネタを探し、内容を決め、必要な準備物を洗い出す。月1回まとめてやるにせよ、週次で回すにせよ、担当者の頭のなかを相当な時間占有しています。
②持ち帰りの時間
業務時間内に終わらず、自宅で考えている。労務管理上はグレーで、本人は「趣味みたいなもの」と言うかもしれませんが、事業所として把握できていない労働がある状態です。
③担当者が抜けたときの空白
レク担当が退職した、あるいは異動した瞬間に、企画の質が落ちる。次の人が同じ水準に達するまで数か月かかる。これは記録にも残らない損失です。
仮に企画に月4時間、時間あたり人件費1,300円とすると、1人あたり年間6万円強。
金額としては小さく見えるかもしれません。ただ、③のコストは金額に換算できません。 そして管理者が本当に困るのは、そちらです。
「効率化」を前面に出しても利用されない理由

先に断っておきますが、レクの企画にAIを使いましょう、と管理者が言うと、現場から抵抗が出ることがあります。
「利用者さんのことを考えて選んでいるのに、AIに決めさせるのか?」
「本当にそれで場が盛り上がるのか?」
という反応です。
この反発はもちろん理解できます。レクは、担当者が利用者一人ひとりの顔を思い浮かべながら組み立てるものだからです。
ただ、最近はSNSを見ながらこのレクが良さそう!と決めている担当者も多くいます。その探す時間をAIに置き換えるだけです。
AIが出すのは、条件に合う候補と、実施の段取りです。
誰が楽しめそうか、誰に声をかけるか、当日どう盛り上げるかは、これまでどおり職員の仕事として残るので、楽になるメリットをしっかりと
条件を4つ指定すると使える案が出る

AIに「レクのアイデアを教えて」と聞くと、どこにでもある一般論が返ってきます。
その案が使えないのは、こちらの施設の背景情報や条件を渡していないからです。
指定すべきは4つ。参加者の状態、場所、時期、制約です。
あなたはデイサービスのレクリエーション企画を補助するアシスタントです。
以下の条件で、実施できるレクリエーション案を5つ出してください。
【条件】
- 参加者:15名程度。要介護1〜2が中心。うち3名が車椅子利用
- 認知症の方が4名。長時間の集中が難しい方を含む
- 場所:屋内のホール(約60平方メートル)
- 時期:9月(残暑・敬老の日)
- 所要時間:40分以内
- 予算:材料費は1回500円以内
- 職員体制:2名で運営
【出力形式】
案ごとに以下を書いてください。
1. 企画名と概要(3行)
2. 車椅子の方が同じように参加できる工夫
3. 準備物と概算費用
4. 当日の進行手順(時間配分つき)
5. 想定されるリスクと安全上の注意点
※個人を特定できる情報は含めていません
ここまで指定すると、そのまま企画書の下敷きになるものが返ってきます。
注目してほしいのは、手順と準備物リストまで一度に出させている点です。
多くの事業所では、企画を決めたあとに「じゃあ何を用意する?」「当日どう進める?」を別途考えています。その分解作業こそ時間を食う工程で、AIが最も得意なところでもあります。
なお、出てきたものに満足いかなければ、もう一度5つ考えさせたり、いいものがあれば、より深掘りさせ流ことも可能です。
実施するものを事業所の資産にする
ここからが管理者の仕事です。
AIが出した5案のうち、実施すると決めたものについて、手順書の形で残します。 誰が読んでも同じように運営できる状態にしておく。
以下のレクリエーション案を、当日の担当者が読めばそのまま実施できる
手順書に整えてください。
【条件】
- 準備(前日・当日朝)/導入/実施/片づけ に分けて時系列で書く
- 各工程の所要時間を入れる
- 職員2名の役割分担を明記する
- 車椅子利用者・認知症の方への配慮を、該当する工程内に書き込む
- 中止・変更の判断基準を1行で添える
- A4用紙1枚に収まる分量にする
【企画案】
(ここに採用した案を貼り付け)
これを繰り返すと、1ヶ月に1回のレクだった場合、1年で12件の手順書が溜まります。
万が一、担当者が退職したり、担当者が代わっても同じような形で回せるようにしておくことができます。
これにより、冒頭に挙げた「③のコスト」がを解消できます。
誰でも実施できるようにして、手順書作成までをスタッフにAIで作らせれば、事業所の資産として貯まり、過去の内容を振り返ることもできます。
企画をAIで速く作ることより、こちらのほうが管理者にとっての価値は大きいはずです。
ご家族への発信にも、同じ材料が使える

もうひとつ、通所事業所の管理者に提案したい使い方があります。
実施したレクの様子を、ご家族向けのお便りやホームページの記事にする。ここもAIで書けます。
以下の実施記録をもとに、ご家族向けのお便り記事を書いてください。
【条件】
- 300字程度
- 実施した内容と、参加された方の様子が伝わるようにする
- 特定の個人が推測できる書き方はしない
- 施設のねらい(何のためのレクだったか)を一文で入れる
- 誇張しない、素直な文章にする
【実施記録】
(ここに当日の記録を貼り付け)
利用者の獲得に苦労している事業所ほど、やっていることを外に出せていない傾向があります。ケアマネジャーが事業所を選ぶとき、ご家族が見学先を決めるとき、日常が見える発信は効果的です。
企画の時間を削って、そのぶんを発信に回す。この組み替えは、稼働率に効く可能性があるため、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
AIに任せられないこと
安全の判断は代替できない
AIは利用者の身体状況を知りません。嚥下の状態、既往、その日の体調。出てきた案が本当に実施可能かを判断するのは職員です。
特に食べ物を使う企画、立位や移動を伴う企画は、必ず現場の目を通してください。
利用者との関係も代替できない
どの方がどんな話題で表情が変わるか。これはAIの入力に入れられない情報です。企画の骨格はAI、味付けは職員、という分担になります。
新しさが出にくい面もある
AIは学習した範囲から答えるので、どこかで見たような案に寄りがちです。
「今までうちがやったことのない切り口で」と条件に足す、あるいは職員のアイデアをAIに膨らませてもらう方向で使うと、この弱点は緩和できます。
まとめ
- レク企画には「企画時間」「持ち帰り」「担当者が抜けたときの空白」という3つの隠れコストがある
- AIが担うのは候補出しと段取り。誰にどう声をかけるかは職員の仕事として残る
- 条件は4つ(参加者の状態・場所・時期・制約)を指定すると、使える案が出る
- 手順書と準備物リストまで一度に出させ、事業所の資産として蓄積する
- ご家族向けの発信にも同じ材料が使え、稼働率に効く可能性がある
- 安全の判断と、利用者との関係は代替できない
レクを効率化するというのは、レクを軽く扱うことではありません。
探す時間を減らして、その場にいる時間を増やすという組み替えです。管理者がこの意図をしっかりと伝えられるかどうかで、現場の受け止め方は変わってきます。
「AIを使う」から、「仕事が回る仕組みをつくる」へ
レクの企画、行事の準備、ご家族への発信。ひとつひとつは業務の合間の作業ですが、特定の職員に集中していると、その人が抜けた瞬間に止まります。
誰がやっても回る形に変えておくことは、人が採れない時代の備えでもあります。
株式会社アスカゼでは、宮崎県内の事業所様を対象に、AIの研修と活用支援を行っています。
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※ 本記事は2026年8月時点で公開されている情報をもとにまとめたものです。各サービスの仕様は更新される可能性があるため、最新情報は各サービスの公式情報をご確認ください。