「広告を出したいけれど、撮影費用も人手も足りない」「SNSは大事だと分かっているが、毎週投稿する素材が用意できない」
こうした悩みは、規模の大小を問わず、多くの事業者が抱えている共通の課題です。
そんな中、2026年5月5日にGoogleが発表した新機能「Pomelli Catalog(ポメリ カタログ)」が、世界中のマーケティング現場に静かな衝撃を与えています。
商品ページのURLを貼り付けるだけで、ブランドに合った広告画像やキャンペーン素材をAIが自動で生成してくれる。しかも、無料で、日本からも利用できるというのです。
「AIが広告を作る」と聞くと、何となくクオリティが心配だったり、専門知識が必要なのではないかと身構えてしまうかもしれません。
この記事では、そんな疑問を抱える方に向けて、Pomelli Catalogとはどのようなツールなのか、何ができて何ができないのか、そしてビジネスにどう影響しそうかを、できるだけわかりやすくお伝えします。
Pomelliとは何か

Pomelliは、Googleの実験的プロダクトを公開する部門「Google Labs」が、AI研究部門「Google DeepMind」と共同で開発したAIマーケティングツールです。
最初のバージョンが公開されたのは2025年10月。当初は米国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドの英語圏4カ国限定でしたが、2026年3月には170カ国以上に対象を拡大し、日本からもアクセスできるようになりました。
Pomelliの最大の特徴は「Business DNA(ビジネスDNA)」と呼ばれる仕組みです。利用者が自社のWebサイトURLを入力すると、AIがそのサイトを解析し、ブランドの色、フォント、トーン、雰囲気を自動で読み取って、専用のブランドプロファイルを作成します。
通常、デザインツールでは「ブランドカラーはこの色」「ロゴはこれ」「フォントはこれ」と一つひとつ設定する必要があります。
Pomelliはこの初期セットアップを丸ごとAIに任せられるため、Webサイトさえあれば数分でブランドに沿った素材作りを始められる、という設計になっています。
利用は labs.google.com/pomelli から、Googleアカウントでサインインするだけ。料金は無料で、画像や動画も数百枚単位で生成可能とされています。
「Pomelli Catalog」で何が変わったのか

今回追加された「Pomelli Catalog」は、これまでの「Webサイト全体から雰囲気を学ぶ」アプローチに、「個別の商品・サービスそのものを起点にする」という新しい入り口を加えた機能です。
具体的には、二つの登録方法が用意されています。
①「Add from URL」
商品ページのURLを指定するだけで、AIが商品名・説明・画像を自動で読み取ります。
②「Add from scratch」
商品名・説明・画像を手動で入力する方法です。
登録された商品データはカタログとして蓄積され、そこから次のようなアウトプットを自動生成できるようになります。
- 商品ごとにパーソナライズされた広告キャンペーン素材
- スタジオ撮影風の高品質な商品画像(Photoshoot機能)
- 静止画から作る短尺の動画広告(Animate機能)
- SNS投稿用のバナーやコピー
URLを貼って、ボタンを押すだけで、商品撮影・コピーライティング・デザインまでが一気通貫で進む。これがPomelli Catalogです。
中小事業者への具体的メリット

Pomelli Catalogが特に意識しているのは、SMB(Small and Medium-sized Businesses=中小企業)と呼ばれる層です。
マーケティング専任者を置けない事業者でも、大手企業並みのブランド発信ができるようにする、という思想で設計されています。
期待される効果を整理すると、次のようなものが挙げられます。
①撮影コストの削減
従来、商品撮影をプロに依頼すると、1商品あたり数万円から数十万円かかるケースもありました。
海外の業界相場では1商品500〜5,000ドルと言われるほどです。Pomelli Catalogでは、スマートフォンで撮った写真を素材として、スタジオ撮影風の画像へとAIが変換してくれます。
②ブランドの一貫性
複数の素材を作っても、Business DNAが全体を統制してくれるため、「広告ごとに見た目がバラバラ」という事故が起こりにくくなります。
複数人で運用しても世界観がブレない、というのは地味ですが大きな価値です。
③スピード
「企画から初稿が出るまで」が、従来は数日〜数週間単位でしたが、Pomelliでは数分から数十分まで圧縮されます。
販促のタイミングを逃さないという観点でも有効です。
撮影機能の基盤には、Google DeepMindの画像生成モデル「Nano Banana」、動画生成にはGoogleの動画モデル「Veo 3.1」が採用されており、品質面でも一線級のAI技術が使われています。
利用前に知っておきたい注意点

便利な反面、ビジネスで使う際にはいくつか冷静に押さえておきたい点があります。正直なところ、ここを飛ばすと後で困るポイントです。
生成画像と実物の差異
AIが生成した商品画像は、実物と微妙に色や質感が異なる場合があります。
ECサイトや広告で使う場合、景品表示法上の「優良誤認」につながる恐れもあるため、最終的な人間によるチェックは必須です。
提供言語の制約
170カ国以上で利用できるようになりましたが、現時点でメインの提供言語は英語です。
ブラウザの翻訳機能を使えば日本語でも操作できますが、Business DNAの抽出精度や生成されるコピーは、英語コンテンツの方が高い傾向があります。日本語サイトでの精度については、各社で実際に試してみるのが確実です。
ブランドの均質化リスク
同じツールを多くの事業者が使うと、結果としてPomelliっぽい見た目が市場に溢れる可能性があります。
完成品をそのまま使うのではなく、自社らしい一手間を加える発想が、長期的には差別化につながります。
実験段階のサービスである点
Pomelliは現在もGoogle Labsの「実験」というステータスです。
仕様変更や機能停止の可能性があるため、本格的な広告運用の基幹に据えるよりも、まずは補助的な使い方から試すのが現実的でしょう。
まず試すための3ステップ
最後に、Pomelli Catalogを実際に触ってみたい方向けに操作方法をお伝えします。
Step①
labs.google.com/pomelli にアクセスし、「Let's get started」をクリック。注意事項が表示されるので確認します。
続いてWelcome to Pomelliが表示されたら、下のLet's goをクリック
Step②

自社のWebサイトURLを入力し、Business DNAが自動生成されるのを待ちます(数分かかります)。

生成されたブランドプロファイルは、フォント・色・トーン・画像が一覧で表示されるので、内容を確認し、必要に応じて手動で修正します。
よければLook's goodから次へ進みます
Step③

商品ページのURLをCatalogに追加し、キャンペーンの目的(例:「新商品の告知」「期間限定セール」など)を入力すれば、AIが複数の広告案を生成してくれます。
最初は1〜2商品で試して、生成されたものをそのまま使うのではなく、自社の販促資料の「たたき台」として活用するのが、失敗の少ない入り方です。
まとめ
Pomelli Catalogは、これまで「予算と人手がなければ手が出せなかった」プロ品質のマーケティング素材作りを、無料で誰の手にも届くものにしようとする試みです。
Google I/O 2026(2026年5月19日・20日)でのさらなる機能拡張も予想されており、CanvaやAdobe Expressといった既存ツールとの競争が一段と立体的になっていくのは間違いありません。
ただ、現状はChatGPTのImages2.0の方がまだ自由度やクオリティーは高いと思います。ただ、統一感のあるデザインを作りたい場合はこちらの方がオススメかもしれません。
重要なのはAIが広告を作ってくれる時代に、「自社らしさをどこに残すか」を、事業者側があらかじめ言葉にしておくことです。ツールが進化するほど、最終判断と方向付けを担う人間の役割は、むしろ大きくなっていきます。
便利さに飛びつくのではなく、まずは小さく試し、自社の販促プロセスの中で「どこをAIに任せ、どこを人が担うか」を見極めていく。そんな視点で向き合うと、AI活用は中小事業者にとって心強い味方になるはずです。

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参考情報・出典
- Pomelli by Google Labs 公式サイト:labs.google.com/pomelli/about
- Pomelli Help Center(Google Labs Help):support.google.com/labs/answer/16715058
- Google公式ブログ「Pomelli launch」:blog.google/innovation-and-ai/models-and-research/google-labs/pomelli/
- Google公式ブログ「Photoshoot in Pomelli」:blog.google/innovation-and-ai/models-and-research/google-labs/pomelli-photoshoot/
- Pomelli By Google 公式Xアカウント発表(2026年5月5日)
