【Gemini】新機能「Gem共有」が仕事を変える!明日から使える活用法3選

「せっかく作った優秀なプロンプト、他の人にも使ってもらいたいな…」GoogleのAI、Geminiを使っていると、そんな風に感じたことはありませんか?

 

一人で使うだけでも非常に強力なツールですが、その能力を自分の中だけに留めておくのは、あまりにもったいない話です。

 

もし、あなたが作成した「プロンプト」を、同僚や友人・家族にワンクリックで共有できるとしたら便利だと思いませんか?

 

今回はGeminiに待望の「Gem(ジェム)共有機能」が搭載されました。これは単なる便利機能の追加ではありません。私たちの働き方や日常生活におけるコラボレーション(共同作業)のあり方を変えるアップデートなのです。

 

この記事ではGeminiの新機能「Gem共有」が一体何なのか、そして、この機能を使ってあなたの仕事と日常を効率化し、豊かにするための具体的な活用法を、今回はビジネス編に絞って、わかりやすく解説します。

 

そもそもGeminiの「Gem」とは?

チャット

活用法をご紹介する前に、「Gemって何?」「共有ってどうやるの?」という基本的な部分を、誰でも分かるように解説します。

プロンプト登録「Gem」機能

「Gem」とは、特定の目的に合わせてGeminiをカスタマイズできる機能のことです。

 

例えば毎週、会議の議事録を作成しているとします。毎回Geminiに「以下の会議内容を要約して、決定事項とToDoリストを箇条書きでまとめてください」と長い指示を入力するのは少し面倒ですよね。

 

「Gem」を使えば、この長い指示を「議事録サマリーGem」として保存しておくことができます。次回からは、会議のテキストを貼り付けて「このGemで実行」とクリックするだけで、一瞬にして完璧な議事録が完成します。

 

つまりGemとは、仕事や好みを覚えさせた「AI執事」的のようなものだと思ってください。

 

「メール作成Gem」「ブログ構成案Gem」「献立提案Gem」など、用途に合わせてGemを作成できるため、時短のためにもぜひ使って欲しい機能です。

 

Gemの機能や使い方についてはこちらで詳しく解説しています。

参考【超入門】Geminiの「Gem」でAI活用が劇的に変わる使い方を解説

定期レポートを毎回いちから作るのは面倒だったり、最新のスプレッドシートに合わせて要約だけ欲しいと仕事をする上で思ったことはありませんか?   このような定型業務に貴重な時間を奪われていると感 ...

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共有できるのは「チャット履歴」と「Gem」の2つ

今回追加された「共有機能」では、大きく分けて2つのものを共有できます。

①チャット履歴の共有

Geminiと対話した一連の流れ(プロンプトと回答)を、そのまま公開リンクとして共有できます。あなたがどのようにGeminiに指示を出し、どんな回答を引き出したのか、その思考のプロセス全体を他の人に見せることができます。

 

AIをどのように活用しているのか、口頭で説明されてもよくわからない方も多いと思います。「百聞は一見にしかず」と言いますから、聞くよりも実際の使い方を見せた方が早いですよね。

 

ですが、Google Workspaceを利用している方はチャット履歴の共有ができません。今後変更になるのかもしれませんが、現状では弊社のGoogle Workspaceでは共有できていません。

 

一方、無料アカウントであれば共有可能となっているのは確認できています。

 

②Gem本体の共有

業務効率化のために作成した「Gem」そのものを、特定の相手に共有できます。これはGoogleドキュメントやスプレッドシートの共有と似ていて、「閲覧者(Gemを使えるだけ)」や「編集者(Gemの中身を書き換えられる)」といった権限も設定可能です。

 

共有された相手は、優秀なAI執事をすぐに自分のGeminiで使えるようになります。

 

この2つの共有機能を使い分けることで、仕事やプライベートの様々な場面で、これまでにない新しいコラボレーションが生まれます。

 

Gem共有を活かす使い方

ここからはGemを共有してどのように活かしていくのかを「ビジネス編」としてお伝えしていきます。

 【ビジネス編】チームの"暗黙知"をなくす

ビジネスの世界では、個人のスキルやノウハウ、いわゆる「暗黙知」が業務の属人化を招き、チーム全体の生産性を下げる要因となりがちです。

 

Gem共有はこの「暗黙知」を形式知に変え、チーム全体の能力を底上げする強力な武器になります。

活用シーン①

会議後の面倒な作業は「議事録Gem」で共有ゼロに

メモを取る女性

悩み

会議が終わった後、議事録をまとめて、関係者に共有し、ToDoを割り振る作業がとにかく面倒。

解決策

「議事録整形&タスク抽出Gem」を作成し、チームで共有します。

【Gemの指示例】

あなたは会議のファシリテーター兼議事録担当です。以下の入力されたメモや会話ログを整形し、議事録を作成してください。

要件:
1. 議題ごとに整理して記載する
2. 発言者や重要な意見を簡潔にまとめる
3. 決定事項と保留事項を分ける
4. ToDo(アクションアイテム)を必ず抽出し、「担当者」「期限」「内容」の3要素で一覧化する
5. 最後に全体の要約を3行以内でまとめる

___________________________________________

【出力フォーマット】

=== 議事録 ===
会議名:〇〇会議
日時:〇月〇日

【議題1:〇〇】
・内容まとめ:
・意見:
・決定事項:
・保留事項:

【議題2:〇〇】
・内容まとめ:
・意見:
・決定事項:
・保留事項:

【アクションアイテム(ToDoリスト)】
1. 内容:___
担当者:___
期限:___

2. 内容:___
担当者:___
期限:___

【全体サマリー】
・〇〇〇
・〇〇〇
・〇〇〇

このGemをチームで共有すれば、会議の文字起こしデータを貼り付けるだけで、誰でも同じフォーマットの質の高い議事録を作成できるようになります。

 

会議後の面倒な事務作業がなくなり、チームはすぐに次のアクションに移ることができるのです。

 

活用シーン②

「提案書作成Gem」の共有でトップ営業の思考を再現

提案資料

悩み

営業チーム内で、提案の質にバラつきがある。トップ営業のノウハウをなかなか他のメンバーに展開できない。

解決策

トップ営業の思考プロセスが組み込まれた「提案書構成Gem」を共有します。

【Gemの指示例】

あなたはトップ営業の思考を再現できる提案書プランナーです。以下の条件に基づいて、提案書の構成と文章のたたき台を作成してください。

条件:
1. お客様の「現状・課題」を明確化する
2. 提案の「解決策」をシンプルに説明する
3. お客様にとっての「導入メリット・価値」を定量的(数字)+定性的(感情・安心感)に伝える
4. 実績や事例を挿入し、信頼を補強する
5. 最後に「次のステップ」(導入プロセスやアクションプラン)を提示する
6. 提案全体がストーリーとして流れるように構成する

【チームが入力する欄】
提案先企業名:__________
業界・業種:__________
顧客の現状・課題:__________
自社が提供できる解決策:__________
想定メリット(数字や効果):__________
使用したい事例や実績:__________
提案のゴール(受注・試験導入・次回アポなど):__________

【出力フォーマット】

=== 提案書アウトライン ===

1. 表紙(タイトル・提案先名・自社名・日付)

2. 現状分析と課題
・お客様の現状
・明確化された課題

3. 解決策の提案
・提供内容の要約
・競合との差別化ポイント

4. 導入メリット
・定量効果(コスト削減、売上増など)
・定性的効果(安心感、効率改善、ブランド価値)

5. 実績・事例紹介
・事例1:____
・事例2:____

6. 導入プロセス・スケジュール
・ステップ1:____
・ステップ2:____

7. クロージングメッセージ
・提案のまとめ
・次のステップの呼びかけ

【最後に】
トップ営業ならではの「一言アドバイス」を加えてください。

このGemを共有することで、経験の浅いメンバーでも、トップ営業がどのような視点で提案を組み立てているのかを学び、実践することができます。

 

これにより、チーム全体の提案力が底上げされ、受注率の向上が期待できます。

 

活用シーン③

「業界ニュースGem」で競合の動きをキャッチ

インタビューを受ける男性

悩み

毎日大量に流れてくる業界ニュース。重要な情報を見逃してしまいがちで、競合の動向把握が追いつかない。

解決策

特定の業界や競合企業の最新情報を要約させる「業界ニュース要約Gem」を作成し、部署内で共有します。

【Gemの指示例】

あなたはリサーチアナリストです。以下の条件に従って、業界ニュースを要約してください。

条件:
1. ニュース記事(リンクやテキスト)を入力したら、内容を3〜5行で簡潔に要約する
2. 当社の競合であるA社、B社に関する動向た情報は必ず抽出し、分かりやすく整理する
3. 市場全体に影響する動き(規制・新技術・業界トレンドなど)もまとめる
4. 部署内共有を前提に「影響度」を★1〜5で評価する
5. 最後に「次に取るべきアクション候補」を提案する

【入力欄】
対象業界・企業(例:医療AI業界、A社・B社):
__________________________

ニュース記事URLまたは本文:
__________________________

【出力フォーマット】

=== 業界ニュース要約 ===

■ 要約
・〇〇〇
・〇〇〇
・〇〇〇

■ 競合動向
・A社:〇〇〇
・B社:〇〇〇

■ 市場トレンド/外部要因
・〇〇〇

■ 影響度
★★★☆☆(中程度の影響あり)

■ 推奨アクション候補
・〇〇〇
・〇〇〇

このGemを使えば、手分けして行っていた情報収集と要約作業を自動化できます。

 

チーム全員が常に最新の情報を同じレベルで把握でき、迅速な意思決定に繋がります。

 

なぜGem共有は生産性を上げるのか?

PC作業する男性

「Gem共有が便利そうなのは分かったけど、なぜそれがチームの生産性向上に繋がるの?」その答えの鍵は、「共有メンタルモデル」という概念にあります。

 

チームの成果を決める「共有メンタルモデル」とは?

共有メンタルモデルとは、「チームのメンバー間で、課題や仕事の進め方、お互いの役割などについて、共通の認識やイメージを持っている状態」を指します。

 

2016年に発表された研究では、この共有メンタルモデルが形成されているチームは、たとえ対話の量が少なくても、高いパフォーマンスを発揮することが示されています。つまり、「言わなくても分かる」「阿吽の呼吸で動ける」状態が、チームの成果に直結するのです。

 

Gem共有はこの「共有メンタルモデル」の形成をサポートしてくれます。

 

優秀なGemを共有すれば、チームのベストプラクティス(最も効率的なやり方)をGemという形で全員が共有することで、「仕事の進め方」に関する認識が統一されますし、チャット履歴を共有すれば、ある結論に至った思考プロセスがわかり「課題に対する認識」のズレがなくなります。

 

Gem共有は単なるツールではなく、チームの"脳内"を同期させるための仕組みだと言えるのです。

 

Gem共有が「知の共有」を加速させ、イノベーションを生む

コラボレーションツールが「知の共有」を促進し、組織のイノベーション(革新)に繋がることも指摘されています。

 

異なる部署や背景を持つ人々が知識を共有し合うことで、新しいアイデアが生まれやすくなるのです。

 

例えば、営業部が作った「顧客の課題分析Gem」を、開発部が共有して使うことで、より顧客ニーズに即した製品開発のヒントが得られるかもしれません。

 

Gem共有は、組織の壁を越えたコラボレーションを活性化させ、新たな価値創造の起爆剤となる可能性を秘めています。

 

 おわりに

今回は、Geminiの新機能「Gem共有」について、その基本から具体的な活用法までを詳しく解説しました。

 

Geminiとの対話は、いわば「思考のログ」です。Gem共有はその思考のプロセスや、そこから生まれた最高のノウハウを、これまでになく簡単かつ正確に他者と分かち合うことを可能にします。

 

まずは簡単なGemを作成し、身近な同僚や友人に共有してみてください。きっと仕事が想像以上に効率化され、ポジティブな変化が訪れるはずです。

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